BENEBIS×GINGER 魔法の靴 Story by 北川悦吏子

脚本家、映画監督 北川悦吏子が、
「足にやさしい」と「美しい」を叶える靴
『BENEBIS』に出合ったら……。
白いハイヒールをめぐる、おしゃれで、
ちょっぴり不思議な物語が生まれました。

SPECIAL INTERVIEW 01SPECIAL INTERVIEW 01

脚本家、映画監督 北川悦吏子
脚本家、映画監督
北川悦吏子

1992年、テレビドラマ「素顔のままで」で脚本デビュー。「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「オレンジデイズ」ほか数々の作品を大ヒットに導く。2008年から映画の世界にも進出し、『ハルフウェイ』『新しい靴を買わなくちゃ』では脚本と監督業も手がける。2018年春スタートのNHK連続テレビ小説『半分、青い。』の脚本を担当することが発表され、話題に。

北川さんにとって、「靴」とは
どんな存在ですか?

 探していると見つからないけれど、まったく靴のことなんか考えていないときに、出合ってしまうもの。とはいえ、どんなに見た目が可愛くても、私の足にフィットしてくれなければ、仲良くはなれない存在……。靴選びって、どこか恋人選びに似てますよね。例えば「この日までにこういう靴が欲しい!」と必要にかられて探しに行くと、なかなか見つからない。いろいろ妥協して買ってしまうと、歩いているうちに足が痛くなったりとか、ちょっとディテールが好みじゃないとか、そういうところが出てきて……。クリスマス前に急いで彼氏をつくってはみたものの、やっぱり違った……っていう感覚に近い気がします(笑)。軽はずみで買えないものだからこそ、本当にときめいた相性のいい靴との出合いは、絶対に逃したくないですね。

BENEBIS白いパンプス

映画『新しい靴を買わなくちゃ』で、
靴をテーマにした理由は?

 パリを舞台に、主演を中山美穂さんにお願いしたのですが、彼女が靴を片方なくして、公園の噴水のところに座って困っている絵がふと浮かんで。それがすごく可愛い気がして、映画にしたいと思ったんです。私が作品を考えるときはいつも、そんなふうに、あるシーンからとか、あるいはタイトルから始まることが多いですね。そこから、じゃあどういうお話にしようか――って考えていくんです。
『新しい靴を買わなくちゃ』は、主人公が最後に靴を贈られて終わるのですが、私も撮影が終了したときに、美穂さんからバレエシューズをいただいて、すごく嬉しかったのを覚えています。とても美しい靴だったので、しばらく部屋に飾っていました。

脚本家、映画監督 北川悦吏子

30代、40代……
選ぶ靴には
どんな歴史がありましたか?

 ちょうど脚本を書き始めたのが30代前半。おしゃれに興味はあったけれど、靴にはまだ、そこまでこだわりを持っていなかったような気がします。黒やベージュの、定番的なパンプスを選んでいたかな。40歳くらいになって、取材を受ける機会が増えて、スタイリストさんを通じてラグジュアリーブランドのハイヒールを履く機会が増えました。自分のキャリア的にも、とても“戦っていた時期”だったこと、それから時代的にもそんなカッコいい女性像が求められていたのかな。お食事会にもピンヒールで出かけたりして。でも、5、6年前にふと、もう私はそこで戦わなくてもいいかな、と思った。今はもうちょっと、履いていてラクとか、歩きやすいとか、心地よさのある靴を選ぶように変わってきましたね。

今回書き下ろしていただいた
「魔法の靴」のインスピレーションは、
どこから?

 今、少し長いドラマを書いていて、毎日その主人公の女の子のことばかり考えていて。その女の子にこんなエピソードが訪れたら素敵なのでは……と、急に頭に浮かんだんです。その子は、天真爛漫で、破天荒で、とても自由な女の子。そんな彼女に、近所に憧れの素敵なお姉さんがいたら……と、想像したら楽しくなってしまって、あっという間に書き上げてしまいました。
 そうそう、質問されて思い出したけど、確かに私にも、そういうお姉さんがいましたね。子供の目から見てもすごくきれいで、大人っぽくて。やっぱり彼女もハイヒールを履いていたような記憶が……。パンプスって、女のコの憧れのアイテムなんですよね。

SPECIAL INTERVIEW 02SPECIAL INTERVIEW 02

コーディネートを組む
ときは服が先? 
それとも靴が先ですか?

 その昔、母から「おしゃれは靴からよ」と教えられたことがありましたけど、大人になってようやくそれがわかった気がします。この仕事をするようになって、女優さんの着こなしを拝見する機会が増えると、「もしかして、おしゃれの肝は靴なのか? 靴選びを怠っちゃいけないんだな……」と、何度も思いましたし。そんなこともあって、ここ数年は靴を先に決めてから、着る服を選ぶようになってきたかもしれません。
 執筆の時期に入ると本当に家に閉じこもり気味になるので、その合間にときどき友達と食事に行くことを目標に頑張る、みたいな感じになるんですね。出掛ける何日も前から、自宅の玄関近くにその日に着ていく服をハンガーにかけて、その下に靴を置いて、コーディネートを作っておいたり(笑)。靴までを合わせておくと、気分も上がるんです。

どんな気持ちでいると、
素敵な恋や靴が
見つかるのでしょうか?

 恋も靴も、とにかく無心に(笑)! 虎視眈々と狙っている間は出逢えなくて、ふと力を抜いたときに偶然出逢えるのでは。可愛い靴や洋服を見つけた時の感じって、素敵な人に出逢った時に似てませんか? 感動するんですよね。なんて、素敵な!と。そして、手に取る。それが始まり。だから、靴も服も人も、出逢った時に、すぐ反応できる、心の元気さは持っておきたいです。内に閉じてると何とも出逢えない、見過ごしてしまう、とは思ってます。
 ひとつ思うのは、30歳を越えたら、もうおしゃれのことは、“何かに教えてもらう”必要はないんじゃないか、と。20代は、世の中的におしゃれなもの、みんなが素敵というもの、履いていておかしくないもの、を選んで、まるで横一列の戦いだったと思います。でも30代に入ったら、自分が好きなものを、履けばいいんだと思います。コーディネートは大切だけど。お仕着せのお洒落をやめたら、私は断然、おしゃれが楽しくなりました。全体のバランスさえ気をつければ、好きなものを、どんどん履けばいいと思います。靴や服は、女性が楽しむためにあるもの。TPOは大事だけれど、見だしなみ、という窮屈な言葉に縛られてては、つまらない。

BENEBIS白いパンプス

女性にとって、ハイヒールとは
どんな存在でしょうか?

 まずは、大人の女性の象徴。「魔法の靴」でも書きましたが、だからこそ少女は憧れるのだと思います。あとは物理的に視界が上がるので気分がいいし、何より見た目がきれい。物としても美しいので、眺めているだけでいい気分になれる。履く機会の少なくなったピンヒールのパンプスも、その美しさゆえに捨てられなくて、靴箱の奥に大切に仕舞ってあります。
 その一方で、女性にとっては、どこか武器、みたいなところもあるのかもしれません。いざというときに履く大切な武器。人生の一時期、ハイヒールを履いて戦う時期があってもいい気がします。
 街でハイヒールを履いてたくさん歩く女性を見ると、どんな仕事なのかな、どんな日常なんだろう……と、思わず考えてしまいます。その高さで闊歩し続ける姿に感動します(笑)。
 10cm以上のピンヒールとか、やはり戦ってる感じがして、ホテルのロビーで見るのはいいけれど、アスファルトを歩き続ける靴なのかなあ、地下鉄の長い長い階段を毎日、降りる靴なのかなあ、とは思います。見てるだけで疲れる(笑)。
 私にとっては、特別な日の靴、ですね。

BENEBIS白いパンプス

いろんな靴を見てきて、
今欲しい靴とは?

素敵なデザインと履きやすさ、両方を兼ね備えた靴! いろいろ巡り巡って、今は可愛さと、歩きやすさの両方がないと、買わなくなりました。“可愛いけれど、ツラい靴”は卒業。服以上に、自分に合うか、合わないかが重要なので、だからこそぴったりしたものに出合いたい、という気持ちは常に持っています。見た目も素敵で、履きやすい、歩きやすい、靴って、本当に少ない。だから、出合えたら、大切に履きます。長く。
 おしゃれは、靴から始まるよ、と私に教えたのは、ウチの母でしたが、私は、おしゃれは靴で終わる、靴でシメる、と思ってます。どんな素敵なコーディネートをしても、靴で手を抜いたら、アウト。この前、そのアウトをやらかして、まだ悔いが残ってます(笑)。それは、仕事で大勢の人前に出る時だったので。
 今後こそ、最後のシメの部分である、靴まで頑張ってコーディネートしよう、と思ってます。そのためには、新しい靴を買わなくちゃって、感じです。

取材・文/
河野友紀
撮影/
勝吉祐介(PEACE MONKEY) 
ヘア&メイク/
新井健生
編集/
GINGER編集部(幻冬舎)

MY PUMPS STORY魔法の靴パンプス北川悦吏子MY PUMPS STORY 魔法の靴 北川悦吏子

まだ私が小さい時のこと。
近所に、お洒落なおねえさんがいた。
日曜日になると白いハイヒールを履いて、
綺麗に歩いて、出かけて行った。

おねえさんは、私とたまに遊んでくれた。
おねえさんがクスクス笑うと、髪がふわり
としていい匂いがした。
色は抜けるように白かった。

ある日、一度だけ、おねえさんは、自分の
部屋に私を入れてくれた。
そして、「秘密なんだけどね」と言って、
カーテンに隠れた本棚を見せてくれた。

そして、そこには、魔女になるための本が
たくさんあった。
魔女修行の本。
どうやら、魔女、というものは、修行を
しないとなれないらしい。

「魔女の宅急便」というアニメでも、そう
いえば、修行をしていたな、と私は思った。
「私、本当は、195歳なの」
と、おねえさんは、続けて言った。
その時、おねえさんの瞳が紫に光った気が
して、私は信じた。
そして、私は、おねえさんの本をたくさん、
借りてきた。
魔女になろうと思った。

並んだたくさんの古書

そうしたら、あんな綺麗になって、白い
ハイヒールが履けるんだ、と思ったので。
195歳まで生きたい、とは思わなかった
けれど。

ある時、おねえさんは、道でガマガエルに
話しかけた。
「ごめんね、蛙にしてしまって」
蛙は、ゲコゲコと鳴いていた。
「おねえさん、蛙になる前は、その蛙、
なんだったの?」
「王子様よ」
と、おねえさんは、しれっと言った。
また、おねえさんの瞳が紫に光った。
私は、少し、おねえさんがこわい、と思ったが
私も、魔女になって、いつか、私をいじめる
男子を、石とか蛙に変えることが出来るよ
うになるんだ!と、決心するのだった。

でも、一向に私は魔法がかけられるように
ならなかった。
箒が、地上から飛び立つこともなければ、
誰かを石にすることも出来なかった。

ただ、私は、一度だけ変身に成功したこと
がある。
魔女修行の本によると、変身の方法はこうだ。
お母さんのドレッサーから、秘密でコンパクト
を持って来る。

口紅

そして、その鏡に、お母さんが生まれて
初めて買った口紅で、「マ」と書く。
魔法の、マ。
そして、あとは、呪文。お決まりの呪文。
これは、秘密なので言えない。ごめんなさい。

そうして、私は、あるものに変身した。
死んじゃったおばあちゃんだ。
ウチのおじいちゃんは、おばあちゃんが
死んじゃってから元気がなかった。
おばあちゃんに会いたいって言うから、
おじいちゃんの誕生日に、私が変身した。

鏡に映る私は、私のままだったけれど、
おじいちゃんは、「わあ、おばあちゃん。
久しぶりに会えて嬉しいよ」
と、言ったから、私は、変身できている、
と信じた。
その時は。

あとになってわかった。
優しいおじいちゃんは、私が魔女の修行を
していることを知っていて
わざと騙されてくれたのだった。

でも、あの時は、本当に、自分が魔女に
なって変身できた、と思って
せいいっぱい、おばあちゃんを真似た。
おばあちゃんが、よくしていたお洒落な
ブルーのショールを巻いて。

白いハイヒールの、お洒落なおねえさんは、
私にこう約束した。
大人になって一足目のハイヒールは、
私がプレゼントするわ、と。
魔女同士の約束よ、と。

BENEBISの白いパンプス

でも、おねえさんは、やがて、どこかに
行ってしまった。
箒に乗って飛んで行ったのではなく、
都会にお嫁に行ったらしい。

やがて、私は大人になり、おねえさんを
真似て、白いハイヒールを自分で買った。

私は、魔女にはなれなかったけれど、
白いハイヒールで変身する。
視界が上がり、背筋が伸びて、スタイルも
俄然、良くなる。
いい女になった気がして王女さまになった
気もして、
すれ違う男たちが、私にひれ伏している
ような、気になるんだ。

いい男を蛙にだって、出来そうだ・・・・。

BENEBISの白いパンプス

BENEBIS CONCEPT

女性が靴に求めることは、ひとそれぞれ。
履き心地、デザイン、機能、品質、価格…。
大人の女性が、美しく輝き続けるために。

それは、「足にやさしい」と「美しい」を叶える靴。

Shop List取扱店舗
[大丸]心斎橋店 梅田店 京都店 神戸店 東京店 札幌店
[松坂屋]名古屋店 上野店 静岡店