
Report Matsuzakaya NAGOYA

日本のアートを牽引するギャラリーが百貨店へ。アーティストともふれあえる貴重なアートフェア「ART365」が、2025年、松坂屋名古屋店で開催されました。
地元・名古屋の〈art gallery Komori〉をはじめ、国内から24のギャラリーが、海外アートプロジェクト・2ギャラリーが、出展。600点以上の作品が集結する過去最大級のアートフェアとなりました。しかも今回は、本館8階が百貨店では日本唯一の“ワンフロアを全部アート”にしたアート専用フロア「ART HUB NAGOYA」へとリニューアルしたばかり。名古屋店では、年々、アートに関心を持つお客様が増えているそうで、まさに「東海エリアのアートマーケットのハブ」的なスポットに。
さらに本館7階では、バレンタインイベント「ショコラプロムナード」もスタートし、アートとショコラが、冬の名古屋店を彩りました。


南館8階 マツザカヤホールでは、地元・愛知を拠点に世界で活躍するアーティスト〈Gallery Futaba〉の ITOKiN氏のポップで楽しい作品群が入り口に展示され、来場者をお出迎え。ITOKiN氏といえば、2021年、松坂屋410周年記念壁画を手掛けたアーティスト。その松坂屋とも縁の深いITOKiN氏が連日来場し、その場でイベントも行われました。
ほかにも今回は多くのアーティストが来場。まさにアートとアーティストにふれる絶好の機会となりました。
特に人だかりとなっていたのが〈Gallery ACCESS〉のビリー・ハン氏、〈GALLERY ISHIKAWA〉の上林泰平氏、〈Gallery Cellar〉の谷口小夏氏の作品です。また話題の海外アートプロジェクト・2ギャラリーの出展も伴い、会場内は国際色豊かなムードに。「この角を曲がるとどんなアートが現れるんだろう」、そんな訪れる人を刺激するワクワク感が渦巻いていました。



〈HRDART(アートプロジェクト)〉では、タイでイベントをした金田涼子氏と〈フランクミュラー〉がコラボレーションした時計を展示。日本で未発売だった版画の展示販売も含め好評を得ていました。
いよいよアジアのギャラリー、アーティストたちを紹介する企画も始動し、さらに「ART365」は、進化していくのではないでしょうか。次は南国・高知で初開催されます。どうぞご期待ください。



香港在住。アジアを中心に世界中に発信するアーティスト。弁護士からグラフィックデザイナーへと異色の経歴を持つビリー・ハン氏。スプレーを使って始めたストリートアートがきっかけで、ライブ感のある雰囲気をいかして作品の中の陰と陽を想像して描くという。

小さな人形を画面に立てることで群衆の中にある個の心理を、ミニマリズムの構成で表現。人間の本質的なところに思いを馳せた作品タイトルも鑑賞しながら、それぞれに答えを導き出してほしいと語る上林泰平氏。

地元・愛知でグラフィックデザイナーとして勤めていたITOKiN氏は、東北大震災をきっかけに自分のやりたいことで明るい話題を作りたい、人のためになること行いたいと、「MAKE smile」を合言葉に一念発起。絵を描きながら世界中を放浪し、言語が通じない世界でも人のぬくもりを感じながら人間力を蓄えてきたという。帰国後、画家を目指し制作に没頭する中、旅で得た人との繋がりが大きな力となり、数々の偉業を達成。目に見えたものをパズルのように構成し、赤・青・黄色のマジックインキを使って、あえて利き手を使わず、思いのまま描く。松坂屋410周年記念絵画製作も担い、ここ愛知を拠点に世界をまたにかけ挑戦し、感動を届けている。

日本画の技法を使って創り出す現実の世界と空想の世界。自身がこだわりを持って作品に描く赤い糸は作品同士を繋ぎ合わせるだけでなく、現実と空想の世界を融合した「楽園」をイメージして制作していると語る平松絵美氏。

モチーフの草花を通して小さな命の中に見える純粋な魂を感じてもらえたら…と話す稲田早紀氏。「自分の作品は祈りの結晶。いつも作品を描かせてもらっている」という想いのもと、誰かの生きる活力になることを願って制作し続けている。

飛鳥時代から伝わる一木彫(いちぼくちょう)にこだわって、猫を神のつかいと見立て作品を展開。一本の丸太の中にカタチを感じたそのときに、内在しているものを彫り出していると話す三宅一樹氏。

誰もが目にしたことのある「瓶」をモチーフに、空気や光や時間など触れることはできないけれど日常で感じているものを表現。油彩の技法をベースに染色なども取り入れた色彩豊かな絵を通して、記憶や息遣いと重ねて楽しんで鑑賞してもらえたらという西川由里子氏。

水墨画を軸に、京都・本能寺への襖絵奉納から初音ミクの「超歌舞伎」まで、絵画制作の枠から飛び出して、グラフィックデザインから舞台演出まで多岐に渡り世界中で活躍。もっと気軽に、もっと楽しく、ヒトとコトを繋ぐ「アートはコミュニケーション」と語る、柏原晋平氏。

ネイルチップをモチーフに魔除けの象徴とされているうろこ柄を表現。ネイルチップをひとつひとつのキャンバスと見立て、身近な風景やそのとき感じたことを描き、世代を越えて“遊び絵”を楽しんでいただきたいと甲斐千香子氏は語る。

国内にとどまらず欧米にも多くのファンを持つ町山耕太郎氏。実在する風景を元に必要最小限まで情報を削ぎ落とし、色と形だけの世界を描く。これは、物に対する知識を持たない産まれたての赤ん坊が見ている景色に近い。大人になるにつれ失われていく純粋無垢な感覚を蘇らせ、自然の原初の美しさを見ることができると話す。

10年以上前から松坂屋名古屋店で個展を開催している山本あき氏。淡く優しいカラーを使うことで人の内面にある秘めた感情を表現。人とも動物ともとれない「生き物」を描くことで、生命力や「今を生きる」という自身のコンセプトを作品に落とし込んでいるという。

幼少期に初めて飼ったペット「金魚」。日常で触れる動物を描くも、あのとき魅せられたうろこやヒレの美しさを伝えたくて、アクリル絵の具と岩絵具を駆使して表現しているという小宮絵莉氏。水槽越しに伝わるそれぞれの個性を作品で感じてほしいと語る。

北斎をリスペクトするTARTAROS氏。世界中で知られる北斎の浮世絵をモチーフに、100カ国以上の紙幣を断裁し、グローバル経済の現代に世界が繁栄してほしいという願いを込めて画材に。浮世絵の構図や日本の伝統色など世界が認める日本の美意識を、この作品を通して再認識してもらい、鑑賞いただく方々の願いを受けとめられるような作品にしたいと考えているという。

まるでシャボン玉のように弾けて消えてしまいそうな、どこか儚さを感じさせる作品を手がける橋本直明氏。20〜30層にもなる透明色を塗り重ね、そこに空間を描き、寂しげな女性と樹海の森を融合させる。制作過程をあえて感じさせるようマスキングテープを残すことで、生命の継続を表現。写真では伝わらない繊細な空間をぜひ間近で見てほしいと語る。

世界中で個展を開催してきた出口雄樹氏は、自身の永遠のテーマである「生と死」を描き続けている。みんないつかは死ぬからこそ今を楽しもうという考えから、日本では死の象徴でもあるドクロをPOPに面白可笑しく表現しているのが印象的。今ここにある作品が未来に残り続けていくためにも、「今」という時間を大切にしたいという想いを、作品に込めている。

戦争のない未来を、平和を願い、未来の子供たちを守る新しい象徴として「兜」をモチーフに作品展開。デジタルで細部まで下絵を組みあげ、日本画をベースとした極彩色の技術で仕上げる。「明るいものを見れば明るい世界を作れるだろう」と、笑顔で語る桃山三氏。

銅版画の技術をベースに写真や生地を転写したり、ドローイングなどさまざまな技法を駆使したりすることで、一体感の中にもコラージュ作品のような不思議な魅力を放つ森本由貴子氏の作品。動物や子供をモチーフに、メルヘンな印象の中に皮肉さや毒が紛れた、ミステリアスでどこか気持ちの良いバランス感覚を作品から感じて楽しんでほしいという。
松坂屋名古屋店ART365 参加ギャラリー
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[art gallery Komori]/愛知
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[Artglorieux GALLERY OF TOKYO]/東京
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[MU GALLERY]/東京
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[Gallery ACCESS]/大阪
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[GALLERY ISHIKAWA]/東京
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[GALLERY KTO]/東京
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[GALLERY CLEF]/岐阜
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[Gallery Seek]/東京
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[Gallery Cellar]/東京
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[Gallery Futaba]/静岡
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[ギャラリーMOS]/三重
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[gallery UG]/東京
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[GYOKUEI]/東京
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[当代東京 CONTEMPORARY TOKYO]/東京
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[The Tolman Collection, Tokyo]/東京
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[Shibayama Art Gallery]/東京
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[SMART SHIP GALLERY]/東京
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[Seta Gallery]/東京
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[SOMSOC GALLERY]/東京
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[TOMOHIKO YOSHINO GALLERY]/東京
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[Nii Fine Arts]/大阪
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[八犬堂]/東京
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[藤アート]/愛知
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[YOD TOKYO & Editions]/東京・大阪
特別企画
HRDART アートプロジェクト
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[ARTIFY ART GALLERY]/香港
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[ART FOCUS]/バンコク