
Report Daimaru KOCHI

日本のアートシーンを牽引するギャラリーが百貨店へ。アーティストともふれあえる貴重なアートフェア「ART365」が、2025年早春の四国・高知へ上陸。高知大丸で開催されました。今回は、全国から13のギャラリーが出展。600点以上の作品が集結しました。
1階イベントスペースには、〈gallery UG〉の野原邦彦氏による「オムレツマント」を展示。学校帰りの男子高校生たちが、日常に突如出現した不思議な物体に「何これ?」と、歓声をあげながら興味深げに集まってきて、しげしげと眺める姿も。

さらに会場となった本館4階プラグスマーケット伝え場に向かうと、〈Artglorieux GALLERY OF TOKYO〉から出展された箔工芸作家・裕人礫翔氏の「風神雷神図屏風」が、エスカレーターを行き交う人々の目を引いていました。隣のブース〈Gallery Futaba〉では、壁一面に展示されていたITOKiN氏の作品が強烈なインパクトを放つ中、店頭ではITOKiN氏によるパフォーマンスも行われました。



また土佐・高知といえば、“おきゃく”と呼ばれるお酒を楽しむための文化も根付く酒どころ。
そんな土佐を代表する日本酒「酔鯨」が、「ART365」とのコラボレーションを企画。5階催会場に隣接するブースでポップアップイベントが実現されました。通常にはない「ART365」限定特別醸造酒「酔鯨×ART365 純米大吟醸」をはじめ、器やTシャツ、アーティストとコラボレーションしたアイテムも販売しました。「酔鯨×ART365 純米大吟醸」のラベルは、裕人礫翔氏、野原邦彦氏、角谷紀章氏ほか、今回出展の13ギャラリーから紹介する人気アーティスト13名のアート作品を起用。試飲販売も行われ、初日から盛況を呈して、限定100本が完売となりました。









ほかにも高知大丸独自のイベントとして賑わったのは、〈Shibayama Art Gallery〉の出口雄樹氏による日本画のワークショップです。参加されたお客様は、高知の伝統工芸「土佐和紙」に墨筆を使って竹と雀を描くという体験に、いっそうアートを身近に感じられた様子でした。その、出口氏もまた「鯨」をモチーフにした作品で知られるアーティストですが、ワークショップ会場の壁面にも大きな鯨の絵を、即興によるライブパフォーマンスで完成させました。南国・高知らしいダイナミックな作品の数々が展示された今回の「ART365」。アートを楽しみながら日本酒を味わうなど、高知ならではの趣向も記憶に残りました。
さて次回は8月、東京へ。たくさんのアートとともに向かいます。



ポジティブな言葉をストリートカルチャーでリミックスする井上魁氏。
流行やライフスタイルが急速に変化していく現代社会において、井上氏にとって不変の素材である「陶」に自分が生きる「今」を落としこみ未来へ託すことで、時代の痕跡を残していきたいと語る。

坂本龍彦氏の作家活動は、外からの情報に左右されず他人ではなく自分と向き合ってきた歴史。人生の矛盾を感じながら言葉にも表すことができない「よもだな(いい加減な)」考えを核とし、「意味のないことだけど、本人にとっては切実」な思いから美しいものが創造される。

〈酔鯨〉コラボのラベルにもなった、稲田友加里氏の「さすらう:危機」。サーフボードに乗ったバクがサメに襲われている、思わず目を奪われる印象的なこの作品。本来は4コマ漫画形式で、「起承転結」の「承」にあたるという。

裕人礫翔氏は、話題の「宇宙兄弟」コラボ作品に加え、経年変化による金箔の変色まで精巧に再現してみせた国宝「風神雷神図屏風」複製も出展。西陣織の箔細工を手掛けていた頃から縁の深い、土佐和紙を使用した作品も注目を集めた。

1月の名古屋開催に続き、連日会場に明るい雰囲気をもたらしたITOKiN氏。
高知大丸ART365 参加ギャラリー
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[Artglorieux GALLERY OF TOKYO]/東京
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[MU GALLERY]/東京
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[GALLERY ISHIKAWA]/東京
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[GALLERY CLEF]/岐阜
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[Gallery Seek]/東京
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[Gallery Futaba]/静岡
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[gallery UG]/東京
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[GYOKUEI]/東京
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[四季彩舎]/東京
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[Shibayama Art Gallery]/東京
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[SMART SHIP GALLERY]/東京
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[Seta Gallery]/東京
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[TOMOHIKO YOSHINO GALLERY]/東京