LEATHER MODEL “Runner#1”

2024.04.09

LEATHER MODEL “Runner#1”suzuki shinobu/スズキ シノブ

素材・技法:Acrylic・leather dye・carving cattleleather on wooden panel/2024年
サイズ:H46.0×W46.0×D4.0cm

スズキシノブの「レザーモデル」が
新しい唐草文様に見えてくるとき

レザーカービングの作家スズキシノブが、プラモデルから発想した「レザーモデル」を制作した。プラモデルのようにランナー(部品とつながっている枠)で一体となった造形が目をひく。ランナーとは本来、植物のほふく茎のことで、金型の中でプラスチックが流れるさまがほふく茎のように見えることからそう呼ばれる。「ランナーと革は、残ったものという点で似ています」とスズキ。プラモデルを作った後に残るランナーを、かつて命を宿していた動物の革でつくるのがおもしろいという。レザーに彫刻する唐草文様の美しさからレザーカービングを始めたスズキは、唐草に生命力を感じている。この「レザーモデル」自体も唐草文様に見えてくるようだ。

LEATHER MODEL “Runner#1”

この「レザーモデル」は、黄色い部分以外は1枚の革をカットしてつくられている。人物と心臓と黄色い部品がランナーでつながり、すでに取り外された部品もあるという設定だ。赤い心臓は、「生きているからこそ、なさ=欠落がわかる」ことを表すアイテム。戦争や震災など、個人が解決できない状況にあっても、生きていればなんとかなるという、人生を鼓舞する象徴でもある。黄色の部品は、「生きているからこそ感じる、何もない寂しさ」を表している。心臓との対比で選ばれた黄色に存在感がある。

LEATHER MODEL “Runner#1”

スズキ シノブ◎TOMOHIKO YOSHINO GALLERY

1983年、東京生まれ。2013年にレザーカービング(革への彫刻)を始める。そのキャリアを活かして、レザーカービングで2020年よりアート作品を発表。道端に存在する自然に生えた蔦や草、人が生み出したグラフィティなどのストリートアートに共通点を感じ、その感覚をフォローした唐草や夢中になっている生き物達をモチーフに、精神的な平和や自由を考える。またそれ自体何かの恩恵をいただいて成り立っている(FREEDOM IS NOT FREE)というつながりに、自身のルーツである革を「使い捨てにならない作品」として結び感謝を表現している。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。