「人の技術なしには高品質のモノは作れない」という信念のもと、若者に向けた靴職人養成学校を運営する〈ネロジャルディーニ〉。伝統と技術革新の橋渡し役として、生産拠点を国内に維持するなど、広い視野でイタリアのモノづくりを支えています。工場では物流倉庫にも投資をし、靴の品質維持のために温度調節できる倉庫を使用。職人たちの優れた手仕事を生かし、靴づくりに集中できる環境を整えています。
〈ネロジャルディーニ〉製品のすべてのアウトソールに刻まれる、イタリア国旗のトリコロール。それはブランドの基盤にある「メイド・イン・イタリー」の誇りであり、原料から生産過程まで高品質であることの証です。革のなめしからパーツ一つひとつの加工まで国内生産にこだわり、その誠実なモノづくりと卓越したクオリティーに、イタリアの靴職人の伝統が根付いています。
ヨーロッパで人気のウエスタンテイスト。
ルーズなシルエットと繊細なトゥのバランスが絶妙。
ヒールのフォルムと良質なレザーに惚れ惚れ。
ベルトのアクセントで足首を美しく魅せます。
定番人気のレースアップデザインを
エナメルの質感でワンランク上の表情に。
パンツにもスカートにも合う万能ローファー。
快適ながら美スタイルも叶える厚底タイプ。
〈ネロジャルディーニ〉代表取締役と
大丸・松坂屋バイヤーが語る!
履いた瞬間に伝わる、
“Made in Italy”の価値
ネロジャルディーニが
日本で支持される理由
イタリア・マルケ州発のシューズブランド
「NeroGiardini(ネロジャルディーニ)」は、“Made in Italy”にこだわったモノづくりと、高いデザイン性・履き心地を兼ね備えた靴づくりで、世界各国にファンを持つ。日本でも取扱店舗を拡げており、百貨店でのPOPUPイベントなどを通じて着実に支持を広げている。今回、シューズ専門総合情報サイトのShoes Post Onlineでは、来日したネロジャルディーニ代表のアレッサンドロ・ブラカレンテ氏と、大丸松坂屋百貨店のMDコンテンツ開発第1部ファッション&ライフスタイル担当のバイヤー・横田暁洋氏による対談を実施した。実は両者の出会いは、一枚の名刺から始まっている。ブランドをつくる側と、その価値を日本で届ける側。3年間ともに歩んできた両者が、“Made in Italy”の哲学、日本市場との親和性、そして大人の女性にとっての理想の一足とは――などについて語った。
MD コンテンツ開発第1 部
ファッション&ライフスタ
イル担当 バイヤー
横田 暁洋
代表取締役
アレッサンドロ・
ブラカレンテ
まずは、お二人の出会いからお聞かせください。

コロナ禍明けの2023年2月のMICAM(ミカム※)で、横田さんが私たちのブースに名刺を置いてくださったことが始まりでした。その後、日本へ伺い、大丸松坂屋百貨店本社(東京都江東区)で商談をさせていただきましたが、今日、こうして再び同じ場所でお話していると、とても懐かしい気持ちになります。

私は数年来MICAMへ足を運んでいることもあり、以前からネロジャルディーニというブランドそのものは知っていました。当時は、エレガントなブランドという印象が強かったのですが、2023年2月にブースへ立ち寄ると、スニーカーやローファーなど、以前のイメージ以上に幅広いコレクション展開で驚きました。名刺を置いて行った翌日に、担当の方から直接電話をいただいて。その後、アレッサンドロさんがわざわざ日本までサンプルを持って会いにきてくれたんです。その後2023年9月のMICAMに行った際に、ネロジャルディーニのショールームも訪問し、そのまま2024SS商品の発注へとつながりました。
MICAMでのやり取り以降も、こうして関係が続いているのはなぜでしょうか。

やはり商品に対する思いですね。もちろん、デザインや品質も理由のひとつですが、それ以上に会社全体からモノづくりに対する情熱が伝わってきます。結局、人と人との信頼関係が一番だと思います。

横田さんと初めてお会いした時から、とてもフィーリングが合うと感じています。ネロジャルディーニを本当に気に入ってくださり、熱意を持って向き合ってくださっていることが伝わってくるんです。
横田さんが感じていらっしゃる、ネロジャルディーニの魅力についてもう少し教えてください。

先ほども申し上げたように、商品に対する思い、情熱がすばらしいです。
実際にイタリア・マルケ州にあるファクトリーへ伺ったことがあります。そこで働くスタッフの皆さんが、本当に明るいんです。しかし、モノづくりになると一気に表情が変わる。商品を扱う一つひとつの動作がとても丁寧で、職人としての誇りを感じました。ブランドだけではなく、会社全体として信頼できると思えた瞬間でしたね。
ネロジャルディーニは不良品率が低く、デリバリーも正確です。販売後も、売上や消化状況についてコミュニケーションを取ることができ、すべてにおいて非常に真面目な会社だと感じています。長く取り組みを続けられているのは、そうした総合的な信頼があるからです。
それと、物流センターも非常に印象的です。
オートメーション化が進んでいるだけでなく、商品の品質を守るために、酸素濃度まで徹底的に管理しているんですよ。これは商品にカビを生やさないためであったり、火事防止の観点で行っているそうです。

火事が一番怖いですからね。会社として、商品も、人も守らなくてはなりません。そうした設備の投資も、長く良いブランドであり続けるためには欠かせないことだと思っています。
商品のみならず、企業としての姿勢も評価されているのですね。

そうですね。アレッサンドロさんの父親であり、創業者のエンリコさんにもお会いしたのですが、非常にエネルギッシュな方でした。握手をした時の力強さが、今でも印象に残っています。言葉を交わす前から、人としての熱量が伝わってきた。「この人がつくった会社なら信頼できる」「この人たちと仕事がしたい」と直感的に感じました。

父は、本当に人とのつながりを大切にする人です。横田さんが、その思いを感じ取ってくださったことをとてもうれしく思います。父はよく、「一人では何もできない」と話しています。社員は従業員ではなく、チームメイトです。みんなで会社を作り、みんなで良い靴をつくる。家族の様に支え合いながら、一緒に成長していく。それが父の考えです。商品、靴は、会社で働く人たちの姿勢を映すもの。だからこそ、良い靴をつくるためには、良い関係、良い環境、良いチームが必要なのだと思います。
そうした考え方は、若い職人を育てる「靴職人養成学校」の運営にもつながっているのでしょうか。

はい。その学校も、父・エンリコの思いから生まれたプロジェクトです。
イタリア・マルケ州では、職人の高齢化が進み、地域の靴づくりがこのままでは受け継がれなくなるという危機感がありました。そこで、若い世代が技術を学び、手に職をつけられるよう、EU認可の3年制靴職人養成学校を立ち上げました。私たちの職人も授業を担当し、デザインからパターン、製造まで、靴づくりのすべてを実践的に学ぶことができるイタリア唯一の学校です。卒業すれば、ヨーロッパ全域で認められる資格も取得できます。卒業生が職人として活躍している姿を見ることは、私たちにとって何よりの喜びです。
技術継承が大きな目的ですが、それだけではなく、地域の若者に将来の選択肢を提供し、マルケ州の靴づくりという文化そのものを未来へつないでいくことも、私たちの大切な役割です。
単に靴を作るだけでなく、人を育てることもブランドの使命なのですね。
そして、そんな創業者・エンリコさんがブランドの核として掲げたのが、“Made in Italy”です。

はい。私にとって、“Made in Italy”はブランドそのものです。30年ほど前、多くの企業が海外生産へ移る中、父はその流れに逆行しました。“Made in Italy”は、単に「イタリアで生産する」という意味ではありません。素材も、人も、生産も、イタリアでつくることに意味があり、その哲学を私は誇りを持って受け継いでいます。
“Made in Italy”をブランドの核とするネロジャルディーニでは、どのような女性に向けて靴づくりをされているのでしょうか。

自立した大人の女性です。仕事をして、友人と会い、ときには旅にも出る。トレンドには敏感だけれど、それだけではなく品質にもこだわる。履き心地も大切にしながら、自分らしいスタイルを楽しむ。そういったアクティブな毎日を送りながら、おしゃれも楽しみたい、という女性に向けて靴づくりをしています。女性は自由でなければいけません。靴はファッションの一部ですが、履きにくい靴は女性の行動を制限してしまいます。私たちは、履き心地の良い靴によって、女性により自由な人生を歩んでほしい、と願っています。

その考え方は、日本のお客様にも非常に合っていると思います。私はよく、「履いて歩けなければ靴ではない」とお伝えしています。足は「第二の心臓」とも言われますから、その足を守る靴の履きやすさはとても重要です。ただ、履きやすさだけを追求すると、コンフォートシューズになってしまう。靴はファッションアイテムでもありますから、美しさも必要です。美しさ(ファッション性)があり、そのうえで履きやすく快適に歩けること(機能性)。この両方が備わってはじめて、お客様に長く愛される靴になると思っています。

横田さんのおっしゃる通りで、見た目が美しくても履きにくいシューズだと意味がありませんし、逆に履きやすいだけでは私たちのブランドではありません。
実際、私たちの商品について、お客様はまず店頭でデザインから興味を持っていただいています。そして試着していただくと、「想像以上に履きやすい」と驚かれることが本当に多いんです。その瞬間に品質を実感していただき、購入へつながるケースがとても多いですね。

大丸松坂屋百貨店では、“半歩先”のトレンドを求める、40~50代のお客様が多くいらっしゃいます。この世代は、品質と価格のバランス、そして「ファッション性」と「機能性」の両立を重視されています。ネロジャルディーニは、そのニーズに非常によく応えられているブランドだと感じています。
“半歩先”のトレンド、という言葉がありましたが、その“半歩先”について、もう少し詳しく教えてください。

大丸松坂屋百貨店では、最先端のトレンドをそのまま持ってくるのではなく、お客様が日常の中で無理なく取り入れられる、ちょうどいい新しさを意識しています。エッジを効かせ過ぎると、お客様は手を伸ばしにくくなってしまう。一方で、安心感だけでは新鮮さがありません。また、「誰に届けるのか」も非常に重要です。店舗によって客層は異なりますし、お客様が求めるデザインや価格帯も変わります。その絶妙なバランスが“半歩先”であり、それを見極めることが、私自身の、バイヤーの役割だと思っています。ネロジャルディーニは、その”半歩先”のトレンドの取り入れ方が非常に上手なブランドだと感じています。デザイン性がありながら日常にも取り入れやすく、履き心地まで備えている。そのバランス――上手なエッジの効かせ方が、日本のお客様にも受け入れられている理由の一つではないでしょうか。
横田さんのお話からは、お客様や売場を細かく見ていることが伝わってきます。アレッサンドロさんは、その姿勢をどのように感じていますか。

私は日本以外にも海外展開を担っており、多くの国のバイヤーと出会ってきました。中には自分の店舗やターゲットのことを充分に把握せず商品を選んでいる方もいます。けれど、横田さんは違います。店舗ごとの客層を理解し、そのお客様に向けた商品構成まできちんと考えを巡らせている。そして実際の販売実績やお客様の反応を私たちにフィードバックしてくれるんです。そうしたコミュニケーションがあるからこそ、私たちも日本市場について学ぶことができます。非常にバランスの取れた、理想的なバイヤーだと思っています。

ありがとうございます。すごい褒めてくれた(笑)。
ネロジャルディーニは、そんな大丸松坂屋百貨店、そして横田さんとタッグを組み日本市場へ進出してきました。特に2026年は、POPUPイベントに注力されています。

そうですね、2026年の春には、大丸神戸で初めてPOPUPイベントを開催させていただきました。秋冬にも新たな場所でのイベントを予定しています。
ネロジャルディーニの2026年秋冬コレクションについてお聞きします。今シーズンの特長は。

2026年秋冬は、特にカラーバリエーションに力を入れました。お客様の好みやライフスタイルは多様化していますので、これまで以上に様々な色を取り入れています。
中心となるのは、ダークブラウンとボルドーです。ダークブラウンは、イタリア語で「Testa di moro」と呼ばれる、非常に深みのある色です。黒ほど強くなく、コーディネートに柔らかさや温かみを与えてくれます。ボルドーも、秋冬らしい落ち着きがありながら、足元に適度な華やかさを加えられる色です。それらを単色で見せるだけでなく、異なる色や素材を組み合わせています。レザーの質感や色の濃淡を重ねることで、奥行きのあるコレクションに仕上がりました。
デザインについてはいかがでしょうか。

最近は、フォーマルやエレガントなスタイルが再び注目されています。スニーカーのようなカジュアルな靴も引き続き重要ですが、パンプスやローファー、きれいなフォルムのブーツを選ぶ方も増えています。これは私たちにとって、とても良い流れです。ネロジャルディーニは、もともとパンプスやローファー、エレガントなブーツを得意としてきました。ただクラシックなだけではなく、現代のファッションに合わせた素材やボリューム、ディテールを取り入れています。私たちの得意分野を、今の時代に合う形で提案できるコレクションになっています。
今シーズンを象徴するモデル(商品)について教えてください。

おすすめしたいものはたくさんありますが、今回は3つご紹介します。
一つ目は、ウエスタンテイストを取り入れたチューブタイプのブーツです。ウエスタンの雰囲気を持ちながらも主張が強すぎず、様々なスタイルに合わせやすいデザインです。筒部分にも余裕があり、足入れの良さと美しいシルエットを両立しています。
二つ目は、ダークブラウンの厚底モデルです。実は昨年2025年からの継続商品ですが、日本ではベストセラーとなっています。ヒールは高めに見えますが、前方にも厚みを持たせているので足の傾斜が強くなりすぎません。そのため、見た目以上に歩きやすく、長時間履いても疲れにくい構造となっています。まさに、私たちが大切にしているファッション性と機能性を両立している、象徴的な商品です。
最後に三つ目は、大きなベルトをアクセントにしたブーツになります。ベルトには存在感がありますが、全体のフォルムはとても美しく、バランスよくまとまっています。少し新しいデザインに挑戦してみたいけれど、奇抜過ぎるものは選びにくい……。そうしたお客様にも取り入れていただきやすいのではないでしょうか。
ありがとうございます。ネロジャルディーニの2026年秋冬コレクションについて、横田さんはどう思われていますか。

どの商品にも、ネロジャルディーニらしい“半歩先”の感覚がありますね。トレンドを押さえていながら、実際のワードローブへ取り入れやすい。そして履いた時に、見た目以上の安定感があると思います。ぜひ、いろいろなモデルを店頭で体験していただいて、ご自身に合う一足を見つけていただきたいですね。
“Made in Italy”やファッション性と機能性の追求……ここまでこだわっていると、正直価格帯が気になります。

品質を落とさず、企業努力で価格は出来る限り抑えています。本来であれば、もっと高価になってもおかしくありませんが、私たちは創業以来、約50年間、「より多くの方に良い靴を履いていただきたい」という想いで努力を続けてきました。それもネロジャルディーニが大切にしてきた価値の一つです。

ネロジャルディーニの靴の販売価格は、平均で4万円前後です。この価格帯は、決して安価ではないでしょう。ですが、この価格で“Made in Italy”のデザイン、品質、履き心地を提供できるブランドは決して多くありません。だからこそ、お客様には実際に試着した際には、価格以上の価値を感じていただけると思います。
今シーズンの商品で言うと、特にブーツは、見た目にボリューム感があったり、ヒールが高く見えるものでも、履いてみると安定感があります。「このデザインで、こんなに歩きやすいのか」と驚かれる方も少なくありません。一足一足、イタリア・マルケ州のファクトリーで、職人の方々が丁寧に作り上げています。素材を確認し、縫製し、組み立て、仕上げる。多くの人の手と、高い技術を経て完成した靴が、イタリアから日本へ届いています。お客様には、少しでも作り手の思いを感じていただき、大切に、長く履いていただけたらうれしいですね。
今後の日本市場への展開について、どのような可能性を考えていますか。

大丸松坂屋百貨店だけにとどまらず、他の商業施設も含めて、日本国内でさらに広めていきたいと思っています。
私としては、日本市場に向けた商品企画に取り組みたいと以前からお伝えしています。ネロジャルディーニの魅力をそのまま日本に届けるだけではなく、日本のお客様のライフスタイルや好みにより深く寄り添った商品を一緒に作ることが出来たらうれしいですね。例えば、“半歩先”のトレンド性を取り入れた靴と、長く履き続けられるオーセンティックなトラッドシューズ。大きく分けると、この二つの方向性が考えられます。木型や素材、カラーも含めて、日本側から企画を提案し、選択できる。そんな日本独自のラインができれば、ブランドの魅力をさらに広く伝えられると思います。これは以前から何度もお伝えしているんですけどね(笑)。

何度も聞いています(笑)。正直に言えば、現在の私たちの生産体制は、一定の生産性を維持しながら、多くの商品を安定して供給することを重視した仕組みになっています。そのため、細かな仕様変更や限られた数量の商品へ柔軟に対応することは、簡単ではありません。一方で、現在のやり方が、そのまま日本市場に合っているとは限らないとも感じています。

ネロジャルディーニは、一般的なシューズファクトリーとは少し異なる強みを持っています。多くのファクトリーは靴を生産し、卸すことが中心で、自社で小売店舗を運営していません。一方、ネロジャルディーニはヨーロッパやアメリカなどでブランドショップを展開し、イタリアの街中にも店舗を持っています。自分たちで商品をつくるだけでなく、売場でどのように見せ、どのようなお客様が購入するのかまで理解している。小売りのノウハウを持つファクトリーであることは、大きな魅力です。一方で、アレッサンドロさんが言うように、多くの商品を安定して供給するための生産体制が構築されていますから、私たちがお願いしているような細かな仕様変更や日本独自の商品企画にすぐ対応することが簡単ではないことも理解しています。それでも、現在の品質や価格のバランスに、日本市場へ向けた企画力や運営面での柔軟性が加われば、さらに強いブランドになると確信しています。

私たちも同じ考えです。この3年間、日本では安定した販売実績を積み重ねることができ、ブランド認知は少しずつ高まってきました。しかしそれ以上の結果を求めるのであれば、これまでと同じことを続けるだけでは足りません。共に成長するには、変化が必要です。日本のお客様にもっと喜んでいただくために、私たちが何を変え、何を新たに始めるべきなのか。横田さんのように、日本のお客様や売場を深く理解している方のアドバイスを受けながら、意見交換を続けていきたいです。これからが本当の勝負だと思っています。