Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「滝飛沫」

2026.2.2

「滝飛沫」

金田 涼子Ryoko Kaneta

素材・技法:ジクレー/2025年
サイズ:H56.4× W80.7cm(余白含む)

金田涼子がキャラクターの姿で
描き出す、自然と季節​

金田涼子は、この作品で夏の気配を感じ始めるころの情景を描いている。「中央に描いた泉の飛沫は、爽やかな夏の空気を生み出し、周囲の山々では暮れていく空のもとで祭りの準備が進められています。夏は各地で祭りが行われる季節です。祭りには豊作祈願や無病息災といった祈り、その土地に息づくものたちとの交流など、さまざまな意味が込められています。そうした祭りの賑わいの気配とともに、彩り豊かな自然の様子を表現しました」と解説する。これまでは夏の祭りの様子そのものをテーマとして描くことが多かったが、今回はその周囲に広がる情景や気配、祭りに至るまでの過程を描きたいと考えた。夏の自然の魅力に向き合える作品だ。

「滝飛沫」深掘りポイント

この作品で金田涼子は山々の塗り方を、いつものぼかしやグラデーションとは違う手法で描いている。季節の進み方を表すのに、新しい表現に挑戦した。「模様のようにまだらに色を重ねることで、青々とした木々の移ろいを表現しました。夏の空気感を色味でどのように表現するか。山の新緑と、日が暮れる前の黄味がかった景色のバランスを試行錯誤しています」と金田は語る。「また、祭りの準備が進む賑やかさと呼応するように、泉の飛沫が踊り、跳ねる様子を重ねて描いています」としている。

「滝飛沫」深掘りポイント

金田 涼子Ryoko Kaneta

1991年茨城県生まれ。2014年横浜美術大学卒業。神や自然現象など人知を超えた存在を大小さまざまなキャラクター​たちを描くことによって表現している。近年は日本の土着的な文化や日常的な気配などをテーマとした作品を多く制作。’20年 「あめつち」。’21年「金烏玉兎」。’22年 「In Our Nature」。’23年 『金田涼子 回顧展2020-2022 「幾星霜」』、「雪月風花」、「Snow in The Summer」、「from beyond the sea」。’24年 「流るる星々の行方」、「とこしえの光」、「Everlasting」、「Memories of nature」、「A Change of Scenery」などの展覧会多数。’24年には高級機械式時計メーカー「FRANCK MULLER(フランク・ミュラー)」とのコラボレーション・ウォッチを発表。