Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「KUMO」

2024.9.27

「KUMO」

野原 邦彦Kunihiko Nohara

素材・技法:FRP/2024年
サイズ:H29.0×W40.5×D26.0cm、ed:9

野原邦彦の浮遊する作品は
見る人にリラックス感を与えてくれる

浮遊感のあるモチーフで、見る側の気持ちをやさしくしてくれる野原邦彦。この「KUMO」は、2022年のアートフェア東京で初めて展示された巨大なバルーン作品「雲間(くもま)」から派生したものだ。「雲間」は長さ7.5mの作品で、会場である東京国際フォーラムのアトリウムに浮かんで来場者の注目を集めた。その後、版画やFRP作品(繊維強化プラスチック)へと展開している。野原は「周囲と独立して感じる瞬間、少し違う時空にいる感覚を持つことがある。それは人の過ごす時間とは無関係にかたちを変えていく雲や煙のようでもあり、自分だけの空間のようにも感じる」と語る。時間の経過の中で、一瞬一瞬を大切にするという誰もが共感することのできる作品だ。

「KUMO」深掘りポイント

ぽっかりと浮かぶ雲の中に、水中眼鏡をかけたスイマーが背泳をするように仰向けになり、リラックスした様子で浮いている。スイマーは、ほぼ雲に覆われているが雲から出ている頭と足からは浮遊する心地よさを感じることができる。表面のなめらかさはFRP(繊維強化プラスチック)ならではのもので、野原が制作の中心に据えている木彫とは別の表現が、FRPによって可能になった。

「KUMO」深掘りポイント

野原 邦彦Kunihiko Nohara

1982年北海道出身。2007年広島市立大学大学院芸術学研究科彫刻専攻修了。
【主な展示】
ART EXPO MALAYSIA PLUS(シンガポール)(2016)
MACAU HOTEL ART FAIR(マカオ)(2016)
BAZAAR ART JAKARTA(ジャカルタ)(2016,2017)
ART FAIR TOKYO(東京)(2016~)
ART FAIR ASIA FUKUOKA(福岡) (2017~)
ART JAKARTA(ジャカルタ)(2017)
ART STAGE SINGAPORE(シンガポール)(2016,2017)
GINZA ART EXHIBITION「今夜は本屋でパーティー」(東京)(2018)
ART FORMOSA(台北)(2018)
ONE ART TAIPEI(台北)(2019~)
VOLTA NEW YORK(ニューヨーク)(2020)
art KYOTO(京都)(2020~)
Mother × gallery UG ART Exhibition(ニューヨーク)(2023)
ART TAIPEI(台北)(2023)
ART VANCOUVER(ニューヨーク)(2024)
他国内外多数
【パブリックコレクション】
広島市立大学芸術資料館(広島)
コウノトリ生殖医療センター(台湾)
淮海街(蘇州新区, 中国)
SAKIA(淡路島, 兵庫)
花吉兆(京都)
【主なコラボレーション】
2020年 PAPABUBBLE銀座SIX-キャンディーアートミュージアム
2021年 LOUANGE TOKYO Le Musée-コラボレーションデザート
2023年 ザ・リッツ・カールトン東京-オリジナルアフタヌーンティー・特別展「Floating moment」