Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「清潔な人」

2026.2.2

「清潔な人」

ニワタカユキTakayuki Niwa

素材・技法:FRP/2019年
サイズ:H60.0× W16.0× D12.0㎝

ニワタカユキが表現する
新しい極楽浄土

ニワタカユキの立体制作のきっかけになったのは、京都・平等院の鳳凰堂にある雲中供養菩薩だという。平安時代、雲中供養菩薩は亡くなった人を極楽へ案内し、阿弥陀如来を供養する役割を持つと考えられていた。そのため、菩薩たちは雲に乗り、笙や琵琶などの楽器を持ったり、舞を舞ったりしている。ニワは、どこかにいそうな現代人をモチーフにして、人間のひょうきんな動きや複雑な表情を捉え、それを強調したフォルムに落とし込んでいる。「誰にでも神様になれる一瞬があると思っている」というニワ。極楽浄土という誰もが許され救われる世界や、人間のカルマ(業)の中の希望を表現したいと考えている。

「清潔な人」深掘りポイント

ニワが重視するのは、人間のカルマ(業)をどう表現するかという点だ。「業は、業つくばりとか業欲など、忌避されがちな言葉を想い起こさせますが、その内側には人が生きていくうえで避けられない本然の姿が潜んでいます」というニワは、喜怒哀楽の中の絶妙な揺らぎを表現することを目指している。困ったような、何かから迷惑をかけられているような「清潔な人」の表情は、見る人によっていろいろな意味を与えられるに違いない。作品を目にすると、混乱の後に納得が訪れる。その感覚こそ、ニワの「救いの世界」の入り口だ。

「清潔な人」深掘りポイント

ニワタカユキTakayuki Niwa

1981年愛知県生まれ。2004年愛知県立芸術大学美術学部彫刻科卒業。彫刻シリーズ「清潔な人」や「セクシー大根」をはじめ、造形で人を笑わせたいという気持ちから、人間の業をばかばかしく表現している。近年の個展に2023年「天の原」(gallery UG Tennoz, 東京)、「フレッシュ」(銀座蔦屋書店, 東京)、2025年「光の中に、」(gallery UG Tennoz, 東京)、アートフェアに2024年 ONE ART Taipei(Hotel Metropolitan Premier Taipei, 台北)、グループ展に「LaissezーFaire」(大丸東京店, 東京)、2025年「Chill Art Summer [ART colours vol.44]」(パークホテル東京, 東京)などがある。​