Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

2026.8.6
「しあわせがひろがってゆく」
志賀 龍太Shiga Ryota
素材・技法:Oil on canvas/2026年
サイズ:H41.0×W24.2cm
志賀龍太が描く、犬のいる暮らしは
ほのぼのした気持ちにさせてくれる
志賀龍太が犬を描くようになったのは、犬を飼い始めたから。毎日の散歩で感じるのは、犬の好奇心だ。「気になったものにはまっすぐに向かい、小さな花や葉っぱなど私たちが何気なく通り過ぎてしまうようなものにも目を輝かせます。その姿を見ていると当たり前の景色が少し違って見え、まるで新しい世界を教えてもらっているような気持ちになります」という。今までは人物が中心の作品が多かったが、今回は犬をモチーフにした作品を描きたいと思った。「今回初めて犬だけが登場する作品を描いてみました。作品を通して小さな発見やワクワクする気持ちを感じていただけたらうれしいですね。犬に表情が出るように描けたらと思っています」。

志賀は何度もフリーな線を描いては消すことを繰り返し、その中で偶然に生まれる形を発見して、そこから作品を作る。そのために、短時間で完成する作品もあれば、なかなか形が見出せない作品もある。シンプルな構図の作品でありながら重層的な存在感を発しているのは、この志賀の創作の方法によるようだ。志賀は日常をテーマにしているが、この作品も日常のワンシーンで実際の風景。犬がお気に入りのぬいぐるみを抱きしめて幸せそうに寝ている場面に遭遇したときに、愛おしくて、温かみのあるこの雰囲気を表現したいと思ったという。愛情あふれる描線が、犬の存在を特別なものにしている。

志賀 龍太Shiga Ryota
[MU GALLERY ]
1988年愛知県生まれ。岐阜県在住。2019年 NY sohoに1カ月滞在し、作品を制作し路上販売。2023 年「independent tokyo」で奥田雄太賞、天明屋尚賞受賞。2022年愛知、岐阜で個展。2023年愛知、埼玉、台湾、東京で個展。