Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「DRAGON」

2026.8.6

「DRAGON」

KAORUKO

素材・技法:mixed media
サイズ:H80.0×W60.0cm

KAORUKOがニューヨークで描く、
現代アートとしての吉祥絵画

2007年よりニューヨークで作家活動を続けたKAORUKOは、日本にいるときよりも日本古来の文化に興味をもつようになり、「八百万(やおよろず)の神」という概念やANIMISM (アニミズム)という生物と無生物すべてのものに精霊が宿るという思想に出会い、縁起を大切にする日本古来の考え方がすばらしいと感じたという。「日本には吉祥絵画という、幸福、繁栄、長寿など、人々の願いが込められた縁起のよい絵画が古くからあります。私は『福を招くものたち』を描き、吉祥絵画を現代アートとして表現することをコンセプトとしています。現代の吉祥絵画には、人が本来持つ力と希望を思い出すことができ、人々の心に寄り添える作品性が求められていると考えています」と語る。

「DRAGON」深掘りポイント

KAORUKOは、キャンバスに彩色した後、江戸時代の浴衣の文様をシルクスクリーンで刷っている。この「DRAGON」では青海波を描いた上に江戸時代の雪の柄をシルクスクリーンで刷った。「途切れることなく穏やかな波のように幸せが続くことを願い、青海波の模様を一つ一つ繋ぎ、願い描くことで龍の姿を表しています」と語る。龍は古くから縁起のいい架空の存在であり、水の神でもある。「心を落ち着かせて、写経のように青海波の模様を描き、金箔を貼る作業は、自身が研ぎ澄まされていく感覚を覚えます。私の地元名古屋にある高牟神社の『ご縁を結ぶ古井戸の霊水』で描いた作品です。絵を見てくださる方々に、幸せや心の豊かさをもたらすことを願っています」。

「DRAGON」深掘りポイント

KAORUKO

名古屋出身。アイドル歌手「新井薫子」として日本で活躍後、1980年代末よりアーティストに転身。2007年からニューヨークを拠点に活動。現代を生きる女性を投影したポジティブなフェミニズムを描く。