Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「Deppled Sunlight」

2024.10.1

「Deppled Sunlight」

吉田 学Manabu Yoshida

素材・技法:イラストボードにガッシュ/2024年
サイズ:H42.0×W59.5cm

疾走感のある風景自動車画を描く
建築デザイナー、吉田学

吉田学は建築デザイナーとして働きながら、風景自動車画を描く作家だ。毎週末を作画にあてているという。吉田が得意とするのは、疾走する自動車を流れる風景とともに描くこと。この作品も、木漏れ日の差す森の中の道を軽快に走るクラシックなスポーツカーが描かれている。この車はフェラーリ・ディーノといい、フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリの夭逝した息子の名前が付いている。限定台数しか生産されなかった幻のクラシックカーだ。詩情が漂う吉田の自動車画を見て、自分の持っている自動車を描いてほしいというオーダーも多いという。

「Deppled Sunlight」深掘りポイント

光を描くのは、吉田が得意にしているジャンル。この作品では画面の左側から太陽光が差していて、森の木々を通して道路に差し込む光が木漏れ日となって表現されている。左のヘッドライトは森の色を受け、右は進行方向を見据えている。バックの木は高速を表すために、流れる色のような存在に描かれる。光は右手へ流れていくかたちに描かれ、フェラーリ・ディーノの疾走感が爽やかに感じられる。光が流れる地面にも吉田のスピード感の表現が見てとれる。エンジン音まで聞こえてきそうなリアルな表現が見どころだ。

「Deppled Sunlight」深掘りポイント

吉田 学Manabu Yoshida

1976年生まれ。奈良在住。建築デザイナー。旧車、モータースポーツ、喫茶店が大好き。スバル360、空冷ワーゲン、フィアット500、ダイハツコペンを所有。