2024.12.25

「布袋葵」

小宮 絵莉Eri Komiya

素材・技法：水彩紙・アクリル・岩絵具／2024年
サイズ：H53.0×W45.5cm

ひらひらと優雅に泳ぐ琉金たち。
小宮絵莉が描く、水の中の宇宙。

幼い頃、金魚が最初のペットだったという小宮絵莉。今追い続けているモチーフは琉金（りゅうきん）だ。「ぷくっとした丸い体やひらひらする尾びれが好きです。動くときにきらりと光るうろこもきれいだと思います」と琉金の魅力を語る。この作品では、金魚たちが餌を求めて集まり、にぎやかに泳ぐ時間帯を描いたという。優雅なひれの動きも表情のひとつとなってくれている。水面に浮かぶ布袋葵（ほていあおい）と水中の琉金が、同じような丸みを帯びているのが面白い。「少し丸みを強調して描いています」という小宮の意図によって、琉金の存在感が一層感じられる。

「琉金は個性がよく分かります。ひれの大きさも違いますし、泳ぎ方も違います。色も真っ赤なものからオレンジ色っぽいものまでいろいろです」という小宮。琉金は細かいところまで表現できるアクリル絵具で描く。動くひれの部分は、透明絵具を塗り重ねて、透けた感じを出している。対照的に背景は荒い粒子の岩絵具を使っていて、水面上と水面下で微妙に色を変えている。岩絵具の粒子がきらりと光る瞬間があり、それが水の中に現れる一瞬のきらめきを思わせる。リアルでいて夢のような、不思議な空間が生み出されている。