Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「I’m King」

2024.12.25

「I’m King」

ITOKiN

素材・技法:アクリル・金箔・キャンバス/2023年
サイズ:H100.0×W80.3cm

ITOKiNの赤青黄の3色の世界は
どこまでも広がっていく

赤・青・黄の3色のマジックインキを使って、世界を回りながら自分が見聞きしたことを描いてきたITOKiN。この作品では、京都・二条城に行き、大政奉還が行われた部屋での印象を中心に、京都を象徴するものを再構成している。ITOKiNにはスーパーヒーローの衣装からきている3色だけを使うという決まりのほかに、左手で描く決まりもある。利き手の右手で描くと予定調和の世界から離れられないのではと考え、左手の不自由さや思いがけない動きでそれを乗り越えようとしている。旅と美術を結びつけ、人を巻き込んでいくITOKiNのMAKE smileのアクションは、パンデミック後のコミュニケーションとしてさらに注目されるはずだ。

「I’m King」深掘りポイント

この作品には京都をイメージさせるさまざまなアイコンが詰め込まれている。中心にいるのはITOKiNくんというキャラクター。大政奉還の間の徳川慶喜が座っていたところにいる。菅笠のような帽子をかぶったいでたちは作者の旅姿でもある。松を背景にして、周りには宝物が飛んでいる。鳥居の左上の親鸞や、その隣にいるハート形の顔のITOKiNの友人など人物も気になるところだが、実は全体が兜の形になっている。てっぺんにそびえているのは京都タワー。今の京都のパワーを実感させる構図には、元気をもらえそうだ。

「I’m King」深掘りポイント

ITOKiN

1982年生まれ。日本福祉大学卒業。東北大震災をきっかけに画家を目指し、会社を辞めて2012年にニューヨークから世界各国を巡る旅に出発。MAKE smile Projectを始めて、出会った人を中心にFacebookのアイコンを製作したり、路上でのパフォーマンスをしながら世界を旅し、3年間で47カ国を巡った。2014年モンベルチャレンジにサポートを受けて、アフリカを縦断。2015年キリマンジャロに登頂。2018年富士ゼロックス(現富士フイルムビジネスイノベーション)本社内通路に総長100mの壁画を製作。2019年作品がLOUIS VUITTONのアートコレクションに加わる。2024年バンコク・ポーチャン芸術大学アートフェスティバルで制作展示。