Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「MANEKI-NEKO 50:50 (PINK)」

2025.1.10

「MANEKI-NEKO 50:50 (PINK)」

Billy Hung

素材・技法:キャンバスにスプレーペイント/2024年
サイズ:H60.0×W40.0cm

ビリー・ハンの招き猫は、
色で目的を語り、同時に内面を見せる

Billy Hung(ビリー・ハン)は、弁護士からアーティストに転身した異色の経歴の持ち主。グラフィティの精神に触れてスプレーペイントを始め、現在は作家活動の傍らスプレーペイントのワークショップを開いて、子供たちを含む幅広い層にアートの楽しさを伝えている。代表的なアートワークは招き猫。この作品は半分がピンク、半分は蛍光カラーの骸骨で表されている。骸骨を描いたのは物事の内側を見たいと考えているからだ。蛍光カラーには、香港にたくさんあったネオン照明の看板の思い出を込めている。「初めて招き猫を見たのは子供の頃で、祖母がプレゼントしてくれました」というハン。台湾では招聘されて高さ2.5mの招き猫を制作したことがある。

「MANEKI-NEKO 50:50 (PINK)」深掘りポイント

ビリー・ハンが描く招き猫は5色。白は招福、黒は厄除、黄色は金運、青は平安、ピンクは良縁と書かれた小判を持っている。色には意味と効果があるからだ。この作品の招き猫はピンク。「ピンクという色についても調査しました。ピンクは関係や調和を象徴します。ピンク効果というのがあって、身につけると暴力的でなくなり、コミュニケーションが増えるので刑務所で採用されているところがあるそうです」という。招き猫の骸骨も描くのがハンのスタイル。半分ずつに分かれた招き猫の内面が興味深い。

「MANEKI-NEKO 50:50 (PINK)」深掘りポイント

Billy Hung

出身地の香港を中心に、台湾やドバイなどでも活動する。2018 年クリエイティブ スタジオ Art Lab 852 を設立し、スプレーペイントのアートの普及を開始。大学を含む学校でワークショップを実施し、多くの非営利団体と緊密に連携。新移民家族の子供たちを対象に新しい文化や環境に浸れるようなワークショップも開催する。2022年には、香港のモンコックで21m×6mの壁画を制作した。