Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「LEATHER MODEL “LIBERTY LINK” #8B」

2025.1.15

「LEATHER MODEL “LIBERTY LINK” #8B」

スズキシノブShinobu Suzuki

素材・技法:Mixedmedia、Acrylic, dyed and carving on cattleleather, woodpanel/2024年
サイズ:H53.8×W66.0cm

レザーカービングの技術でできた
スズキシノブの「自在」なイメージ

革小物製造に携わってきたスズキシノブは、革を装飾する「レザーカービング」という技法を駆使し、2020年から、革を主素材としたアート作品を発表している。
LEATHER MODELレザーモデル」と名付けられたシリーズは、プラモデルを模したもので、作品テーマや各キャラクターを成り立たせる要素がつながった状態をモチーフにしている。スズキは、「自由とは何か」という問いを掘り下げた結果、「何かとつながりながら、自分の意志で選択、決定できる自身の存在を感じられること」と考えるようになった。この概念は作品にも反映されており、「自在」という言葉でその感度の高まりを表現している。

「LEATHER MODEL “LIBERTY LINK” #8B」深掘りポイント

植物性タンニンでなめしたヌメ革にキャラクターや模様を彫刻し、革用の染料やアクリル絵の具で彩色を施して、手裁ちで切り出している。中央右の花は、スズキがデザインしたタンポポ。枠の上部にはLIFEの文字があって、「LEATHER MODEL」という集合体が人生を象徴しているのが分かる。その下にあるのはここにいるキャラクターの帽子。レザーカービングの技術がいろいろなところに使われていて、近くに寄って見るとさらに発見があるのが楽しい。

「LEATHER MODEL “LIBERTY LINK” #8B」深掘りポイント

スズキシノブShinobu Suzuki

1983年、東京生まれ。2013年にレザーカービングを始める。そのキャリアを生かして、革への装飾技法であるレザーカービング(革への彫刻)で2020年よりアート作品を発表。道端に存在する自然に生えた蔦や草、人が生み出したグラフィティなどのストリートアートに共通点を感じ、その感覚をフォローした唐草や夢中になっている生き物たちをモチーフに、精神的な平和や自由を考える。またそれ自体何かの恩恵をいただいて成り立っている(FREEDOM IS NOT FREE)というつながりに、自身のルーツである革を「使い捨てにならない作品」として結び感謝を表現している。