Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。
2025.1.15
「Force Dogu (M)」
宮岡 貴泉Takami Miyaoka
素材・技法:Ceramic/2024年
サイズ:H26.5×W18.5×D8.0cm
遮光器土偶とヨーダの組み合わせで
新しい偶像をつくる宮岡貴泉
この作品のモチーフは、大きな目が特徴の遮光器土偶と映画『スターウォーズ』の登場人物ヨーダ。宮岡貴泉は、見た瞬間に納得してしまう組み合わせによって新しい偶像をつくり出している。これまでに漫画やアニメのキャラクターをモチーフにした作品を発表してきた宮岡は、さらに日本の美術史をさかのぼっていき、遮光器土偶に行き着いた。宮岡が「全体に、金に似た光を放つラスタ彩を使っています」という彩色は、上絵という方法で色をつけている。素焼き、釉薬を掛けた本焼きの後に、上絵付けをしてもう一度焼成する。キラキラ輝くキャラクターには不思議な存在感がある。
キャラクターの胸の部分には、映画『スターウォーズ』シリーズで使われる「May the force be with you(フォースがあなたとともにありますように)」という有名な言葉が書かれている。フォースとは、『スターウォーズ』の宇宙に満ちている神秘的なエネルギーのこと。宮岡は、「オブジェはユニークピースなので、履いている靴のかたちなど細部は1体ずつ違います」と細かい部分を少しずつ変えている。この作品は舌を出しているのが特徴。キュートな表情もぜひ見てほしい。
宮岡 貴泉Takami Miyaoka
[MU Gallery]
1980年埼玉県生まれ。2004年東洋大学経済学部国際経済学科卒業。2006年京都府立陶工高等技術専門校成形科卒業。2007年京都中小企業産業センター陶磁器チーム研修を修了。2008年埼玉で作陶を開始。2009年神戸ビエンナーレ現代現代陶展入選。東京や大阪での個展開催のほか、北京、香港、韓国、ニューヨークでのアートフェアに参加し、独自の感覚や手法からなるユニークな造形が高い評価を受けている。