2024.9.20

「おしがいること」

志賀 龍太Ryota Shiga

素材・技法：Oil on canvas
サイズ：H72.7×W60.6cm

志賀龍太の日日是好日な世界に、
静かで穏やかな日常が展開する

志賀龍太は、やさしい色使いと静かな佇まいのキャラクターによって日常の何気ない場面を描く。「日日是好日（にちにちこれこうじつ）という言葉を知り、自分の作品のテーマだと思いました」という志賀。「今日という日は2度と来ないかけがえのない日である」という意味のこの禅語が、ぴったりの作品を生み出している。この作品は、好きな「おし」がいることでがんばれるという友人の話を聞いて画像化したもの。上の方にいる女性が「おし」を象徴している。志賀の作品によく登場する男の子と女の子は、志賀とパートナーがモデルである。

この作品では誰かの「おし」である女性が宙に浮かんでいる。女性が黒い丸の中に配置されているのは、現実の存在ではなくスマホの中だけの存在だからのようだ。リアルでない存在も誰かの力になっている様子が描かれている。志賀龍太はマルク・シャガールから影響を受けたと語っていて、この女性が浮かんでいるのもシャガールの浮遊する人物像を思い起こさせる。月や太陽が画面に描かれることも多いが、描いているうちに自然と昼夜が決まっていくという。