Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

「カプチーノMiddle」

2025.1.15

「カプチーノMiddle」

野原 邦彦Kunihiko Nohara

素材・技法:FRP/2024年
サイズ:H110.2×W92.0×D90.0cm

心地よい「ひとときの幸せ」に
包まれるスイマーが
観る人を癒やす野原邦彦

野原邦彦のアイコン的な人気シリーズ「カプチーノ」。高さ40cmを基本サイズとして展開してきたこのシリーズは、2023年にザ・リッツ・カールトン東京での個展「Floating moment」キービジュアルとして、高さ2mの大型作品を制作し、2025年には新たなサイズを展開する。
カップから立ちのぼる湯気は、飲み物を手に取ったときの温もりや香りを思い起こさせ、鑑賞者に穏やかで安らぎのある時間を提供する。その中に描かれるスイマーの表情は、控えめながらも柔らかな安堵を感じさせる。心が満たされる瞬間を表現したこの作品は、野原が届けたい「小さな幸せ」の象徴といえる。

「カプチーノMiddle」深掘りポイント

野原の作品テーマは「ひとときの幸せ」である。忙しさに埋もれてしまいがちな日常の中で、小さな幸せを見つめ直すことが、心の豊かさへつながると考えている。このテーマに共鳴し、作品を手に取る鑑賞者も多い。
野原の作品には、湯気や香り、雲などの変化し続けるあいまいなモチーフが多く取り入れられている。これらは、移り行く時間や、考え方であり、それらすべてを知ることはできない「余白」の存在を感じさせる。そのあいまいさが心地よさを生み、私たちを包み込んでいる。

「カプチーノMiddle」深掘りポイント

野原 邦彦Kunihiko Nohara

1982年北海道出身。2007年広島市立大学大学院芸術学研究科彫刻専攻修了。2017年上野の森美術館にて個展、2018年銀座蔦谷書店 Art Atrium(Ginzasix)にて個展、2021年世界遺産二条城にて個展、2021年大丸松坂屋主催「Think Green feat.野原邦彦」を8会場巡回。2022年・2023年アートフェア東京において7mのバルーンを展示、アートフェア東京のシンボル的存在となる。2023年ザ・リッツ・カールトン東京にてオリジナルアフタヌーンティーおよび個展を開催。2024年イベリコ豚インタープロフェッショナル協会アンバサダーに就任。さらなる活躍が期待される。