Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

2025.8.5
「MANEKI-NEKO 50:50 YELLOW v2 (GOLD&SILVER SPLATTER)」
B.S.M Billy
素材・技法:SPRAY PAINT ON CANVAS/2025年
サイズ:H60.0×W40.0cm
グラフィティアートに込められた、
B.S.M.Billyの幸福への思い。
「人には誰でも心の奥に輝く場所がある」と信じるB.S.M.Billyが描くのは、幸運を呼び寄せる招き猫だ。子供の頃、祖母にもらったのが招き猫との出会いという。出身地の香港でも日本の招き猫は広く愛されているそうだ。この作品では、人の表面と内面を表すために、招き猫の半分を骸骨として描いている。ネオンカラーの骨は、かつて香港にたくさんあった、路上に張り出すネオンの看板を思わせる。B.S.M.Billyは弁護士の職を辞めてストリートアートの道に入ったアーティストであり、作品には自身の原点であるストリートへのオマージュを込めている。

「ブラックライトを当てると光る、ネオンカラーの骨に注目してほしい。内面が輝けば、誰でも美しい色で発光できることを象徴しています」というB.S.M.Billy。猫の体に使われる色も意味を持っていて、招き猫シリーズの重要な要素になっている。この作品は黄色の招き猫を描いているが、黄色は金に通じていて、金運を表している。猫が持っている小判に書かれた「金運」という文字もあってわかりやすい。ほかには、白黒青ピンクの招き猫を描いていて、白は招福、黒は厄除、青は平安、ピンクは良縁を意味している。

B.S.M Billy
[Gallery ACCESS]
出身地の香港を中心に、台湾やドバイなどでも活動する。2018年クリエイティブ スタジオ Art Lab 852を設立し、スプレーペイントのアートの普及を開始。大学を含む学校でワークショップを実施し、多くの非営利団体と緊密に連携。新移民家族の子供たちを対象に新しい文化や環境に浸れるようなワークショップも開催する。2022年には、香港のモンコックで21m×6mの壁画を制作した。