Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

2025.8.26
「明るい部屋」
MARINA
素材・技法:ペン・アクリル・ジェッソ・紙・木製パネル/2025年
サイズ:H65.3×W53.0cm
モノクロのペン画と大胆な色味の対比で、
MARINAが描き出す新しい世界。
緻密なモノクロのペン画を制作してきたMARINA。新たなステップとして、絵画の歴史の中から、古代ローマ時代の前1世紀に描かれた壁画に可能性を見出した。「もっとも見てもらいたいペン画を、あえて壁面に描くことによって、ペン画の持つ抽象性を生かしながら、遠くからでもわかってもらえる作品を描くことにしました」と語る。岩絵具や水彩顔料によって描かれた鮮やかな花や観葉植物がある室内空間は、明るく平和なものに見える。しかし、壁のペン画の存在に気がついてそちらを見始めると、まったく違う作品に感じられてくる。緻密さと大胆さが同居する重層的な作品だ。

一見すると模様のある壁紙のように見えるペン画の部分には、多種多様なものが描かれている。遠くから見ていると、室内を表す大きな構造や花に使われている色彩がまず目に入ってくるが、そばに寄ってみると細かいペン画に気がつく。壁面は人物や想像上の生物、不思議な形をした都市空間など、MARINAが得意とするキャラクターでびっしりと埋めつくされている。近くから見なければ描かれているものがわからないほど細かい絵柄もあり、全体的には抽象的なものになっていることを、MARINAは「ペン画の抽象性」という言葉で表している。

MARINA
[八犬堂]
1996年滋賀県生まれ。2014年滋賀学園高校普通科卒業。受賞歴に、2013・14年地域安全防犯ポスターHSL最優秀賞、2017年中山道愛知川宿のれんアート特選、2019年アートオリンピア入選、宝龍芸術大賞優秀賞、2020年全日本アートサロン絵画大賞展佳作、2021年いい芽ふくら芽in Tokyoグランプリ・ロードワークスギャラリー賞、2022年いい芽ふくら芽in Kyoto Artglorieux賞・月刊アートコレクターズ賞、2022年いい芽ふくら芽in Nagoya グランプリ、2024年ACI AUDITION 安倍安人賞。個展に、2022年MARINA Solo Exhibition −未知なる展開、2023年MARINA Solo Exhibition −新しい生命線・頭の中を散歩する、2024年MARINA Solo Exhibition −隣の輪郭線がある。