Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。
2024.9.27
「流景−3」
橋本 絵里奈Erina Hashimoto
素材・技法:油彩・アクリル・ペンキ・キャンバス/2023年
サイズ:H53.0×W80.3cm(M25号)
宇宙、海、空気の動き続ける流れを
鮮やかに表現する橋本絵里奈
鮮やかな色でスピード感ある線や色面を描き出す橋本絵里奈は、「作品を見てくれる人から、この絵は何かに見えるという感想をよく聞きます」という。見る人が思い思いに、水面や紅葉などの自然の景色を作品の中に見い出している。中には動きのある線が龍に見えるという人も。「こちらの感覚に共鳴してくれるのがうれしいですね」という橋本。「自分の力のおよばないところ、宇宙、海、空気を描いています。たとえば秋の空はどこまでも続いていて、フォーカスが定まらないですよね。その奥行きを描いていきたい」。動き続ける流れを描くと奥行きが生まれる瞬間がある。表現の雄大さが伝わってくる作品だ。
左上にある、黄色とピンク色の塊が目をひく。橋本は鮮やかな色を使うが、この色の塊は絵の中に強烈な力が飛び込んできたように見える。まず目をひくのはこの部分だ。右上には白く細い曲線が伸びやかに展開している。「画面に新鮮さを出したい」と橋本は白い線をよく描く。白を描くときにはペンキを使っているという。パレットナイフで取ったペンキを画面に細く垂らしていくと、自分の体の動きを伝える線が描かれる。白い線が重なるところには、奥に広がっていく感覚が生まれる。「ペンキは冒険」という橋本の作品の、複雑な構造を楽しみたい。
橋本 絵里奈Erina Hashimoto
[ギャラリーMOS]
1996年大阪府生まれ。2019年愛知県立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業。2021年世界絵画大賞展入選、「橋本絵里奈展」、グループ展「花展」(以降22、23、24年にも開催)、松阪カルチャーストリート(以降22、23年にも開催)。2022年三人展「記憶」、橋本絵里奈展「白昼夢」個展。2023年 UNKNOWN ASIA個展、四人展「Days, life goes on -日々、人生は続く-」(大丸心斎橋店)、橋本絵里奈展「HANABI」個展、2024年D-art,ART2024 大丸福岡天神店グループ展、KOBE ART MARCHÉ 2024グループ展、ART OSAKA2024 大阪市中央公会堂、D-art,ART2024 大丸札幌店グループ展。