Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

2025.9.24
「タイ・テットシリーズ(THAI-THET Series ) 」
ティタリー・ニルパンピタクThitaree Nilpunpitak
素材・技法:アクリル・キャンバス/2025年
サイズ:H24.0×W30.0cm
ティタリー・ニルパンピタクが描く、
タイの街角のリアリティー。
タイ・チョンブリー生まれのティタリー・ニルパンピタクは、油彩やアクリル絵具、ミクストメディアを使って制作するアーティスト。都市の風景を切り取った作品は、東洋と西洋の共存や伝統と現代性の融合など、背反する要素が混在するタイを表現している。「街の写真を撮りながら、人々の多様な生活様式を観察してきました。バンコクは、さまざまな背景を持つ人々が集まる、文化的にも社会的にもタイの中心となる都市です。ここでは、西洋文化が建築、生活様式、言語、さらには人々の中にまで深く根づき、環境の一部となっています。伝統と現代が共存する様子に強く惹かれます」とティタリーは語っている。

自身が撮影した写真を元に、タイの現在を描いているティタリー。今回の作品で、最も難しかったのは、写真をどのように作品へと変換し、自分が伝えたい雰囲気や感情を正確に表現するかだった。「現代的な視点からタイを表現することを目指しています。敬愛する西洋のアーティストから着想を得た絵画技法やカラーパレットを用いながらも、すべてのイメージに伝統的なタイの要素を残しています。その結果、西洋の影響がタイのアイデンティティーと融合し、共有された文化的空間を形作るような調和の取れた作品が生まれます」と説明している。

ティタリー・ニルパンピタクThitaree Nilpunpitak
[nada art gallery]
2003年タイ・チョンブリー生まれ。キングモンクット工科大学ラートクラバン校で絵画を中心に学ぶ。ファインアート学士号取得。メディアアートとイラストレーションアートを専攻。グループ展は、’22年「NEW PLAYGROUND」、’24年「CHANG MUSIC MELODY OF LIFE」「SILENT DIALOGUE」、’25年「FINEDINING ART THESIS」。西洋の著名なアーティストたちから影響を受け、大胆な色使いや表現豊かな筆致を取り入れた。すべての作品にタイ文化の本質を表現している。現代の視点から見たタイを描き、東洋の伝統と西洋の印象が融合させている。