Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

2026.1.15
「Praying girl Exposure」
DOLK
素材・技法:Spray・Oil on aluminum/2025年
サイズ:H80.0×W60.0cm
制作のプロセスを作品にする、
DOLKの冒険的なシリーズ。
タイトルにある「Exposure」とは、露呈という意味。ステンシルを使った作品で、ノルウェーでもっとも著名な画家の一人になったDOLKは、制作のプロセスそのものを露呈、つまりあらわにして作品化したいと考えた。そのために「マシン」と呼ぶ装置を考案して、自分の力を間接的に画面に伝える技法を生み出した。この作品では、アルミニウム板に祈る少女を描いたステンシルを重ねている。アルミニウム板は、「マシン」で力が加えられて凸凹になり、ステンシルのモチーフは、その上に「描かれた」ひび割れやレタッチによって、単なるステンシルを超えた存在となった。DOLKの「Exposure」シリーズは、「マシン」の登場により、以前とは違う高みに到達している。

DOLKはこの作品について、「作品の中の重なり合う力に注目してほしいと願っています」と語る。重なり合う力とは、相反する二つの力のこと。少女の姿の上に置かれた白い絵具やひび割れには、力のせめぎ合いが感じられる。「精密さと偶然、繊細さと大胆さ、露出と隠匿。そのすべてが緊張関係をなしています」というDOLKの言葉のとおり、力が混在して、緊張感の溢れる画面を作り出しているのだ。制作のプロセスを表そうとする意思が、新しいエネルギーを生んでいる。

DOLK
[AREA154TOKYO]
1979年ノルウェー・オスロ生まれ。オーストラリア・メルボルンでアートを学び、’03年からノルウェー・ベルゲンでステンシルアートを始めた、ステンシルアートのパイオニア。’06年Pictures on WallsがDOLKの有名な作品 “Che” をポストカードとして販売。’10年ハルデン刑務所の開所記念に3つの壁画を制作。ノルウェー政府から評価され、政府の依頼を受けて主要鉄道駅や刑務所に壁画を描いている。’12年に震災直後の日本を訪れ、各地に壁画を残した。’16年には新たな歩みとして今までのスタイルとは異なる抽象的な作品を手掛けるようになった。