Focus 作品に込められた「想い」それぞれの物語
作品を深く理解して、もっと好きになる。
制作の背景まで踏み込んで、
アーティストの想いを紐解きます。

2026.1.15
「Luck in quiet glow 」
BURUMORI
素材・技法:Acrylic on canvas/2026年
サイズ:H41.0×W41.0cm
BURUMORIの不穏な世界は、
弱者の視点から世界を見る試み。
BURUMORIとは作者の名前であり、画面の主人公であるハムスターの名前でもある。ハムスターを描くことにしたのは、弱くて脆い存在だからだという。「弱さに疎外感や恨み、嫉みなど負の感情を重ねて、弱者の視点から世界を見たい」というのがコンセプトだ。一見するとポップでかわいいキャラクターが描かれているのだが、実は周りにはダークな部分がちりばめられて、このハムスターが不穏な環境にいるのがわかる。それでもハムスターは、不幸では終わらない強さを持っているという設定だ。BURUMORIは、ものごとを否定的に捉える「ネガティヴィティー」をテーマにしながら弱さを肯定し、生きづらいと感じる人の心に響くことを願っている。

モノクロで描かれた画面のあちこちに、不安を感じさせるモチーフを描きこんでいるのがBURUMORIの特徴のひとつ。この作品では、旅先のホテルらしい部屋で、ハムスターのBURUMORIが穏やかな海を見ながら、心静かにベッドに座っている。しかし、よく見ると窓ガラスの下のほうにはヒビが入っていて、ろうそくの火は消えてしまい、煙だけが漂っている。これから何が起こるのかと不安にさせるが、ハムスターのBURUMORIは気づいていない。この落ち着いた姿が救いとなって、見る人に未来のストーリーを考えさせる。

BURUMORI
[石川画廊 ]
「弱さの肯定」と、他人をいじめることを好む心理である「嗜虐心」をテーマに 2022 年より制作を開始。圧倒的に弱い存在であるハムスターをメインキャラクターとしている。「弱者」が「強者」に対し持つ恨みや妬みといったネガティブな感情は、人間が持つ純粋な一つの心情であり、その心情は現実世界で、暴力の抑止になる可能性を秘めていると考えている。作品には、虐げられた後とこれから起こる暴力の予知、そして懸命に生きる姿などが描かれる。2022年と2024年には東京・石川画廊、2025年には東京・銀座蔦屋書店で個展を開催。