Still Alive

2023.09.04

Still AliveYuki Ideguchi/出口 雄樹

素材・技法:ミクストメディア
サイズ:76.2×101.6cm

西洋静物画の文脈に連なる
出口雄樹の現代ヴァニタス画

「Still Alive(スティル・アライブ)」は、まだ生きているという意味。ニューヨークに7年住んだ出口雄樹(いでぐちゆうき)がアーティストとして生き続け、自分の中にも美術の要素が生きていることを込めている。スティル・ライフ(静物画)に韻を踏んで名付けた。この作品は、西洋の静物画の文脈中に自分の作品を合致させられないかと考えて描いた。静物画の中でもヴァニタス画というジャンルで、ドクロなど死を意識するものを見ることによって現世を楽しく生きようというものだ。スプレーアートは、高校生のときにやっていた路上グラフィックアートのアイコン。「路上でグラフィティを行い、大学では日本画を学び、その後、アメリカに住んでいたという3つの経験と要素を融合させたのがこの『Still Alive』です。日本ではアニメや漫画の人気が高く、アートは嫌厭されがちです。特に、アート作品を持つことについては、これからコレクターとアーティストで共に盛り上げて行ければいいと思います。」

Still Alive

ドクロのように死を思わせるものを入れるのがヴァニタス画の約束だが、ドクロは怖がられるので、ポップで明るくコミカルにしている。果物の部分にはニューヨーク・タイムズなどを貼り込み、上に墨で描写していて、自分の中の日本画的なものを投影している。100年後にはこんな記事があったことがわかるようにという意図だ。下書きをして、果物の形に新聞紙を切って貼り、上から墨で描く。あまり写真が多いと絵画的には面白くない。見出しがわかるところやあえて株のチャートを入れることもあるという。

Still Alive

出口 雄樹◎Shibayama Art Gallery

1986年、福岡県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画大学院修士課程日本画専攻修了後に渡米し、ニューヨークを拠点に創作活動を行う。アメリカや日本、フランス、台湾を始め各国で作品を発表し、2020 年より京都に拠点を移す。その技法は日本画にストリートアートのテイストを加味して描く独特のもので、ワシントンポスト紙のアート欄では「コマーシャルアートや漫画から技法を取り入れた出口の作品は、未来に衝撃を与える。」と評される。多くの国での展示会の経験から、明治以前と近現代の間に断絶があることを実感し、日本画の再解釈を行うことで過去と今を結ぶ新たな創作を目指している。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。

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