cool it (xs) aloha_paineapple

2024.03.28

cool it (xs) aloha_paineappleYu Uchida/内田 有

素材・技法:ガラス鋳造・アクリル彩色/2024年
サイズ:H22.8×W16.8cm

溶けかけたホッキョクグマが象徴する
内田有の重層的なかわいさ

ガラスを鋳造技法で成形する内田有。作品にコンセプトをもたせたいと選んだキャラクターは、温暖化で絶滅の危機に直面しているホッキョクグマだった。「もともとキャラクターが好きでしたが、大人になってキャラクターの笑顔にビジネスを感じるようになりました」と内田は語る。ホッキョクグマのアイスキャンディーは、消えかけている絶滅危惧種を象徴しており、そのかわいさの下には滅びの予感が隠されている。

cool it (xs) aloha_paineapple

内田が採用している鋳造技法は、型にガラスの粒を詰めて860度で焼成し、ゆっくりと冷やしてから型を壊して取り出すもの。型から取り出した後、周りのバリと呼ばれる余計な部分を取って研磨する。たらりと溶けた部分は、滑らかに仕上げられているからこそリアルに感じられる。ホッキョクグマが着るパイナップル柄のアロハはアクリル絵の具で表現されていて、温暖化による常夏ファッションにアイロニックを感じられる。

cool it (xs) aloha_paineapple

内田 有◎SMART SHIP GALLERY

1979年、東京都生まれ。2011年、東京藝術大学院美術研究科工芸専攻ガラス造形研究室卒業。このシリーズでは、ホッキョクグマを溶けかかったアイスキャンディーのキャラクターにし、印象的でカラフルな色を用いている。それにより市場にまん延するかわいい商品デザインのイメージ=大量消費社会と、温暖化の影響で失われ行く生物の関係をアイロニックに表現。同時に、そのような事実を知りつつも、貪欲に消費を続ける私たちの傲岸さ、無神経さ、そして何を犠牲にしても、決して楽しむことを止めない「業」こそが社会を回転させ続けている実情を描いている。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。