ゾウ

2024.03.28

ゾウGenpei Sakata/坂田 源平

素材・技法:木・アクリル絵の具/2023年
サイズ:H42.0×W23.0×D34.0cm

奇妙で気になる動物を生み出す
坂田源平の木彫作法

坂田源平が木彫で表現しているのはちょっと奇妙な動物たちだ。見る人を和ませるユーモアと不思議な存在感を持っている。坂田が動物を制作するときにいちばん気をつかっているのは、独自のバランスだ。動物園に行ってもスケッチをするよりも動物のしぐさを観察して、作品に取り入れられないかと考えている。割れやすいひのき材をあえて使い、コントロールしきれない偶然性を生かす。彩色はアクリル絵の具と水干絵具を混ぜたもので、少しカサカサとした風合いにしている。平面作品から出発した作家なので、絵画的な要素を入れているのが特徴だ。

ゾウ

ゾウは坂田にとって、彫りがいのある動物。大きな耳や長い鼻、曲がった牙など、彫りたい部分ばかりだという。脚は体に比べて細く表現されているが、これが坂田のこだわるバランス。靴下を履いているのは、どこか物悲しい雰囲気が好きだからで、このゾウは、サーカスで虐げられてやる気を失っているイメージだという。目を黄色くしたのは「黄色が好きだから」という素直な理由からだが、この黄色い目にひかれる人も多い。捉えどころのない、ニュートラルな表情を表現している。

ゾウ

坂田 源平◎秋華洞+SCENA

1987年、京都府生まれ。龍谷大学卒業。陶芸家である父のもとでものづくりに親しみ、大学卒業後に本格的な作家活動に入る。坂田の作品は、無邪気で素朴な動物たちを木彫や絵画でおおらかに表現する。黄色い目をした少し奇妙な表情を見せる彼らは、私たちにおかしみや悲哀、愛らしさを感じさせる。ギャラリーでの展示だけではなく、美術館での個展開催や京都の北野天満宮にも作品が収蔵されている実力派。2015年度より、小学校の図画工作科用に「ゆめをかたちに」として採用掲載されている。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。