抱龍

2024.03.28

抱龍Neinei/ネイネイ

素材・技法:アクリル絵の具・パネル・銀箔/2023年
サイズ:H 53.0×W53.0×D5.0cm

ネイネイが描く少女と龍の組み合わせが
カワイイの最先端をゆく

龍を抱いた少女が強烈な眼差しでこちらを見つめる。作者のネイネイは、「龍は中国の皇帝を表しているのではなく、もっとおもちゃのようなカワイイ存在で、少女の方が上の立場になっています」と解説する。ネイネイは来日して原宿竹下通りや渋谷に通って少女たちを観察し、「東京少女」というテーマを得た。気がついたのは少女たちが似ていること。「表情が見えなくて、近寄りがたい。その距離感こそが日本人の美意識からくるものだと思いました」という。銀箔の上に蛍光色を使って作り出すコントラストは、東京の少女たちの二面性を表しているようだ。

抱龍

この作品の龍は、ネイネイ流にデフォルメされていて、本来持っているはずの威厳をなくし、表情までかわいくなっている。古典的な作品では雲と一緒に描かれている龍の体はまったく描かれず、まるで少女の髪の毛と一体化しているようだ。ネイネイの描く少女はいつも目が印象的だが、この少女の目にはレッドとブルーという補色関係にある2色が使われて、一段と強いパワーを感じさせる。東京の街の観察が好きな作者が描く少女は、龍を従える存在に進化している。

抱龍

ネイネイ◎GALLERY ISHIKAWA

1993年、中国宝鶏市生まれ。2019年多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程グラフィックデザイン学科イラストレーション専攻修了。作品コンセプトは「東京少女」。いまや世界共通言語ともいえる「カワイイ」。カワイイをカルチャーと捉え、その発祥ともいえる渋谷原宿エリアに毎日通い、人間観察を行い、外国人ならではの視点で研究・考察し生み出された東京少女。少女性が持ち得る二面性をアクリル絵の具と銀箔で表現している。2021「Independent Tokyo2021」三浦次郎賞、 2019「日本ブックデザイン賞『山月記』」金賞受賞。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。