2024.04.03
コペルニクスの世界Asano Shin−ichi/浅野 真一
素材・技法:油彩・キャンバス/2023年
サイズ:H45.5×W53.0cm
壮大で親密な浅野真一の宇宙は、
過去と未来につながっている
浅野真一の作品に描かれたオブジェはリアルでありながら、全体は美しいフィクションだ。この作品ではそれが宇宙的な規模に至っている。「星空を見上げる時、僕ははるか昔の人たちも同じものを見ていたことに思いをはせる。宮沢賢治もガリレオも、星座を名付けた古代メソポタミアの人たちも、同じ星空を見ていた。そのような大きな時間の流れに、制作を通して接続されたい」と書く浅野。天体に興味を持ち、家族で旅行に行った先で見た天の川に感動したという。浅野の宇宙を眺めていると、遠い過去やまだ見えない未来にも思いをはせることができるようだ。
コペルニクスは、15~16世紀の天文学者で、当時信じられていた天動説を否定し、地球の方が動くという地動説を唱えた。この作品に描かれているコペルニクスの像は浅野が趣味で集めているミニチュアフィギュア。星図は実は包装紙。子供がくしゃくしゃにしたために、味が出てよくなった。水晶は輝く星々の象徴だ。
アトリエに集まったさまざまな物たちが、机の上に構成されて、一つの世界を作り上げている。作品の中には、画家・長谷川潔へのオマージュであるジャイロスコープも描きこまれている。
浅野 真一◎Nii Fine Arts
1982年、兵庫県生まれ。2005年京都造形芸術大学洋画コース卒業、2007年広島市立大学大学院油絵専攻修了。2013年第30回記念FUKUIサムホール美術展/福井新聞社賞、 第三回リアリズム大賞展/シード賞、第一回ホキ美術館大賞展出品。2017年Kyoto Art for Tomorrow-京都府新鋭選抜展出品。身近なものをモチーフに光の表現を追求する。近年は宮沢賢治の童話からインスパイアを得た作品を制作。「私にとって、物体の象徴的な意味を描くことは重要ですが、同じように重要なのは、目の前にある物体の存在の深さを感じ、敬意を持って描くことです。私のスタジオの空間とオブジェは、私が生まれる前から存在し、死後も存在し続けています。私の作品のテーマは、このような大きな時間の流れにドローイングを通して介入することです」という。