飾る

2024.04.03

飾るKiyu/木須 葵悠

素材・技法:Oil on canvas/2024年
サイズ:H36.0×W14.0cm(W0号)

木須葵悠が見ているのは、
いつもと違う光のある風景

日常の中の非日常を描く木須葵悠のシリーズは、花瓶にいけた花とそこに当てられたレーザー光線の組み合わせが新鮮だ。木須は、作品を展示するときにギャラリーの壁の水平垂直に合わせるため、このレーザー墨出し機を使っていた。レーザー光を入れた作品を描いてみようと思ったのは、自然光に包まれた多面体の花瓶の印象にきっちりした直線が合うというインスピレーションから。ミュージシャンとして舞台から見ていた照明も影響しているかもしれないという。光の導きによって、見えないものを見ようとしている木須の目線を、見る側も共有することができる。

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3Dプリンターで造形された樹脂製花瓶にいけてあるのは、ダリアの造花。それは複雑な形の花瓶のほうを主役にしたいからだという。花の鮮やかな色に対して、レーザー光線の光のクールな色が印象的だ。「レーザー光線には、直線やガラスを選びがちな自分が投影されているのかもしれません」と木須は言う。木須のアトリエには自分が選んだオブジェが置かれているが、植物標本やキラキラしたもの、白黒のものが多い。それらのオブジェが自分をつくっていると感じるという。アトリエの清新な空気も描き出す画面に癒される。

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木須 葵悠◎Shibayama Art Gallery

2020年広島市立大学大学院博士後期課程芸術学研究科総合造形芸術専攻修了 Ph.D(art)/芸術学博士号取得。「日常で見たり感じたりしたことが、突然非日常的な想像とシンクロした時の驚きやときめき。そんな感覚を作品を通してみていただく方に感じてほしい」と語る木須葵悠。この作品も、ある日ふとした思いつきで一輪挿しに、レーザー墨出し器の光を当てたもの。立体的に造形された一輪挿しは、知人の作家に制作してもらったもの。2018年清風会芸術奨励美術展奨励賞受賞。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。