prankster

2024.04.09

pranksterKonatsu Taniguchi/谷口 小夏

素材・技法:acrylic gouche on canvas/2023年
サイズ:H72.7×W60.6cm

つかみどころのなさを
ビジュアル化する谷口小夏

pranksterというタイトルは英語のままにしておきたいという谷口小夏。世の中の固定されたイメージから離れたいという作者の、ひとつの方法のようだ。どこを見ているのかわからない目線の人物は、誰かを特定できないネットの中の存在と重なり合う。谷口はコンピュータ上で下描きをしたのちに、アナログで作画している。描かれた線には微妙な揺らぎがあり、その揺らぎが人の目を捉える。谷口の作品に引かれる人は、年齢も職業もさまざまだ。ちなみに、pranksterとは「いたずら者」という意味。この意味を知らなかった人は、それを知ってこの作品の印象が変わっただろうか。

prankster

人物の目は赤くて、どこか怪しい雰囲気を醸し出している。そこには目線が感じ取れず、感情もわからない。サングラスをかけているようにも見える。顔全体が黒く塗られていて、鼻や口は描かれていない。そもそも顔自体がそこに存在しないのかもしれない。フーデッドパーカに小さな角がついているので、悪魔のような存在にも見える。モチーフも色彩感覚も独特で、印象に残る。輪郭はマスキングテープで周りを囲み、シンプルで印象的な線になっている。揺らいでいる線に作者の存在を感じさせる。

prankster

谷口 小夏◎Gallery Cellar

1995年、大阪府生まれ。京都精華大学芸術学部版画コース卒業。ネット上における匿名性やトリミングされた情報が作品のテーマ。デジタル世代である谷口小夏は「SNSにアップされた画像は、匿名の場であるからこそ表現できる個人の本質を写したものではあるが、彼らが見せたくないと思ったものはそこには存在していない。全てを露わにしているような画像にも大きな秘匿性があり、ネット世界に存在するモノは常に匿名性を帯びている。画面越しの人物は永遠に受け手にとってどこかの誰かであり、同時にどこの誰でもなかったりする」と指摘している。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。