「宇宙で会う」Meet in the space(宇宙兄弟コラボレーションシリーズ)

2024.04.09

「宇宙で会う」Meet in the space
(宇宙兄弟コラボレーションシリーズ)
Hiroto Rakusho/裕人 礫翔

素材・技法:キャンバス・本金箔・銀箔・プラチナ箔/2022年
サイズ:H120.0×W120.0cm

月をテーマにする裕人礫翔が、
『宇宙兄弟』とコラボした最新作

漫画やアニメで人気の『宇宙兄弟』と、大胆に箔を使って月を描く裕人礫翔がコラボレーション。伝統的な技と漫画が融合して、新鮮な世界観が生まれた。このシリーズでは、漫画家の小山宙哉から提供されたデジタルデータで人物部分を描き出し、裕人が着色した箔を使って、夢幻の世界を創造している。この制作方法について裕人は、「(元の絵柄がある)文化財の修復と同じです」と言う。また、裕人は俵屋宗達や尾形光琳の『風神雷神図屏風』の複製も手がけているが、両作品の間の取り方や構図が今回のシリーズに取り入れられた。日本の画法を今どう生かすかを体現する作品になっている。

「宇宙で会う」Meet in the space(宇宙兄弟コラボレーションシリーズ)

『宇宙兄弟』の兄・六太の顔は銀箔を貼った上に描かれている。六太が見つめる宇宙空間は、銀箔に着色したものを2〜4層重ねている。焼いて黒くした銀箔を使った部分もある。箔の上に、琳派が多用した「たらし込み」の技法も使っている。ピンク色は夢や希望を感じさせる色として選んだ。壁に掛けていると、部屋に差し込む光線によって表情が変わる。裕人は、「二人の夢が見えている場面です。アトリエに置いておくと、ハッピーな気分にしてくれます」という。

「宇宙で会う」Meet in the space(宇宙兄弟コラボレーションシリーズ)

裕人 礫翔◎Artglorieux GALLERY OF TOKYO

1962 年、京都府生まれ。箔アーティスト・伝統工芸士。父であり京都市伝統産業技術功労者・西山治作に師事し箔工芸技術を学ぶ。2002年から創作活動を本格化。これまでは「引き立て」の意匠であった箔を主役とした作品を手掛ける。この唯一無二の箔工芸の技術を駆使し、「月」をテーマにした創作を中心にさまざまな作品を発表。さらに箔の技術を生かし、文化財保存を目的として進められているデジタルアーカイブ制作事業にも参画。その作品は、西陣織のために完成された箔の「工芸的な美」の枠を超え、箔を通して見えてくる「本質的な価値」を浮かび上がらせ、世界のさまざまな分野で注目を集めている。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。