love-green

2023.06.22

love-greenTetsuya Noguchi/野口 哲哉

素材・技法:ジークレー・ホログラムシート/2021年
サイズ:42.7×42.7cm、ed:50

輝くホログラムシートと武者の
マッチングは、野口哲哉の新しい地平

甲冑を着た武者たちの立体作品で知られる野口哲哉。実は、鎧や兜に包まれた人物の表情は現代人と通じている。どこか不安な人、眠そうな人、疲れた人、ぼんやりとしている人がそこにいる。時代を正確にうつし出す刀や甲冑とは真逆な、今様とも言えるさまざまな顔と姿に見る人が気付くとき、今と変わらない人間像を見ているという共感が増大していく。この共感が野口の人気の源泉のようだ。名のある武将だけではなく、普通の自分たちがそこにいる。見る人がつながっていく野口の作品の魅力は、平面にも通底している。

love-green

今回は、すでに完売した野口の平面作品のシリーズから、希少なギャラリーの保管分を展示する。「love-green」は、輝くホログラムシートの上に武者を描くシリーズの1つだ。このシリーズは、チョコレート菓子についてくるカードの中でもレアな存在であるホログラムカードをイメージして作られている。キラキラしたホログラムシートを使うことは、野口が長年考えていたことだった。カードが出たときのワクワクした気持ちが込められつつ、コミック要素も感じる描画とマッチングさせたのは、野口の新しい挑戦だ。野口のクリエイティブサポートを行っているプロジェクト集団『5525gallery(ゴーゴーニーゴーギャラリー)』、ファッションキュレーター小木“Poggy”基史氏とのコラボレーション作品。

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野口 哲哉◎GALLERY GYOKUEI

1980年、香川県生まれ。広島市立大学大学院修了。樹脂や化学繊維、アクリル絵具といった現代的な素材を使用して「鎧と人間」をモチーフに人間の内面性や多様性を問いかける立体・平面作品を制作している。しかし野口の作品の中の人物は、現代人との間に大きな区別を設けておらず、そこには「リアルな甲冑を作ること以前に、リアルな人間の姿を探求したい」という野口の想いが表れている。また、海外ブランドとのコラボレーションなど、その活躍は多岐にわたり、見る人に感情を押し付けないニュートラルな作風は、あらゆる世代や国籍の人々に広く受容されている。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。