Matcha Bonsai 夏

2024.06.26

Matcha Bonsai 夏Kunihiko Nohara/野原 邦彦

素材・技法:FRP/2024年
サイズ:H56.5×W44.4×D28.8cm、ed:10

心地よいひとときを形にする
野原邦彦の造形感覚

夏の新緑の中に、野原邦彦のアイコンである水中メガネのスイマーが浮かぶ。
この「Matcha Bonsai 夏」は、茶室で抹茶を楽しみながら、四季を感じる上質な心地よさを表現した作品だ。野原の作品にとって雲や煙や湯気は、移ろいゆく時間や、五感で感じた感覚、想いや思考といった、曖昧だが確かにあった“ひととき”を表す大切なモチーフだ。浮遊感のある造形を可能にしたのは、曖昧であることとリアルであることを行き来することで、鑑賞者に委ねる思考の余白を持たせているからだろう。

Matcha Bonsai 夏

「Matcha Bonsai」は春夏秋冬のシリーズで展開している。それぞれの季節に浮かぶ雲の形や、盆栽の色付き、茶碗の形といった細部まで野原のこだわりの詰まった作品だ。
「Matcha Bonsai 夏」では、夏の茶会で使われることの多い口の開いた平茶碗を起用し、そこから立ち上る湯気は入道雲になっている。明るいグリーンは夏に輝く木々の緑のように眩しい。茶会で感じたひとときは、作品を通して観るものへも伝わるのだ。

Matcha Bonsai 夏

野原 邦彦◎gallery UG

1982年北海道生まれ、2007年広島市立大学大学院芸術学研究科彫刻専攻修了。国内外で高く評価され、若手現代作家の中でも特に注目を集める一人となっている。作品となるモチーフは、自らが持つ空間や香り、雰囲気、感覚、時間を量塊として身にまとい、愛らしくユニークでありながらも、拡張された身体としての奇妙さとミスマッチの間を行き来する不思議な魅力を放っている。彼自身は創作活動を「自分が感じ取ったさまざまなシーンを作品として形に遺す」ことだという。
2023年9月には、ザ・リッツ・カールトン東京での個展とアフタヌーンティーコラボレーションを展開。10月にはMother New Yorkにおける常設展示に抜擢されるなど、今後のさらなる活躍が期待される。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。

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