雨宿りの中で

2024.06.26

雨宿りの中でYuriko Nishikawa/西川 由里子

素材・技法:油彩・アルキド・アクリル・木炭・キャンバス(染色された麻布)/2023年
サイズ:H27.3×W45.5cm

西川由里子のさまざまな試みが
手触りを感じる画面を作り出す

ガラス瓶や林檎をモチーフにする西川由里子は、ものとそれを取り巻く空気や光、もののイメージを表現するために、さまざまな表現方法を試みている作家だ。色彩豊かなストライプでガラス瓶を描くシリーズでは、ものの手触りとその周辺の空気の層を表現するために始めたもの。周囲のものが映り込む光の色彩や空間をストライプで描いている。この作品には、染色、彩色(油性・水性)の技法が組み合わされている。染料など油彩以外の画材を使う目的は、「目に見えない空気」を感じさせたいからだという。描かれるのは日常にあるものだが、光に注目した印象派の画家たちがそうだったように、独自の光と色の再現方法を展開させ、存在感を生んでいる。

雨宿りの中で

バックに使われている麻布は、赤と深緑の2色の染料で染めたもの。色のにじみ具合を見てパネルに貼り、その後に布の天地や絵の構図を決定している。独自の空間を表現した瓶のストライプには、3種類の絵具を使っている。重さのある油絵具、光沢の出るアルキド樹脂絵具、マットなアクリル絵具を使い分けることで、細かい部分ではあるが違う絵具の質感を表している。きらきらと輝いている青いストライプはアルキド樹脂絵具を使い、光沢もものや空間の表現に寄与している。

雨宿りの中で

西川 由里子◎GALLERY KTO

東京都在住。2014年女子美術大学附属高等学校を卒業。2018年日本大学芸術学部美術学科絵画コースを卒業。2017年、2020年、2021年、2022年、2023年に個展を行う。2022年、2023年アートフェアアジア福岡に出品し、2024年にはアートフェア東京にも出品した。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。

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