ドラゴン宝船

2024.07.02

ドラゴン宝船Tomohiro Todoroki/轟 友宏

素材・技法:キャンバスにアクリル絵具/2024年
サイズ:H41.0×W32.0cm(6F)

吉祥の宝船を新感覚で描く
「乗り物絵師」轟友宏

「乗り物絵師」を名乗っている轟友宏の個展のタイトルは、いつも「Happy Drive!」だ。このタイトルには轟のアーティストとしての思いが込められている。大学時代に阪神大震災を経験して自分の時間は有限だと感じ、見る人が不快になる作品は作らないと決めた轟は、楽しくポジティブになれる作品を描くことをテーマとしている。轟の作品を代表する車シリーズは、名車を独特なタッチで描いたもの。どんなにデフォルメされていても車種がわかるところが特徴だ。乗っている人の幸せそうな表情も相まって、車好きに大きな共感を得ている。招福シリーズは、車の作品を購入した人たちに続けざまによいことが起こったので、吉祥の図柄も面白いと取り組んだ。

ドラゴン宝船

車シリーズを描くときには、第2次世界大戦以前の車種まで調べることがあるという轟。作品がイタリア国立自動車博物館に収蔵されたのも、再現性と独自性が評価されてのことだ。宝船に関しても、江戸時代や明治時代の宝船を調べ、龍頭の宝船があることを知って、それを描くことにした。車シリーズ同様、正面から描かれた宝船の龍頭はちょっととぼけた顔で、乗り物の装飾というより七福神の仲間のようだ。七福神は轟スタイルのハッピーな笑顔。全体に温かみのある明るい色彩を意識して使っている。特に左下の大黒様は打ち出の小槌と袋を持ち、鮮やかな赤い衣装で福を象徴している。

ドラゴン宝船

轟 友宏◎seta gallery

1974年東京都生まれ。乗り物絵師。クラシックカーレースの最高峰であるイタリアのミッレミリアのミュージアムで、東洋人初の個展を開催した。代表作品は独自のタッチで描く車の作品。2003年に村上隆主催「geisaiミュージアム」にて、審査員特別賞(岡本敏子賞)を受賞。2017年には、イタリア最古のチョコレートM A J A N Iの限定パッケージを手がけた。作品は「イタリア国立自動車博物館」、「トヨタ博物館」、「ミッレミリアミュージアム」などに所蔵されている。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。

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