真珠の耳飾りの少女のように

2024.07.02

真珠の耳飾りの少女のようにMaki Hosokawa/細川 真希

素材・技法:Silkscreen on paper/2022年
サイズ:H90.0×W64.6cm、ed:10

名画の中に自身を投影した
キャラクターを描く細川真希

多くの人が一目でわかる名画の中に、自分自身を投影したキャラクターを描き込む細川真希。中でも、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」をモチーフにした「真珠の耳飾りの少女のように」は代表作になっている。この作品はそれをシルクスクリーンで再現したものだ。絵日記を書き続けているという細川は、親しみを感じさせるキャラクター作りができる作家だ。「私が生み出したキャラクターたちが楽しんでいる世界を、共有していただければうれしく思います」という細川の言葉どおり、キャラクターがハブとなって、絵画世界に引き込んでくれる。

真珠の耳飾りの少女のように

キャラクターの顔は大胆に単純化されていて、大きな目が強調される一方で、鼻も眉毛も耳も見えない。しかし、真珠の耳飾りはつけているのがわかる。耳飾りはかなり大粒で目をひく。実はフェルメールの作品でも、耳はほぼ顔の影になっていて、真珠の輝きだけが耳の位置を想像させている。青いターバンはトルコ風の装いで、フェルメールが描いた17世紀オランダでの異国情緒を表すものだ。細川の作品ではキャラクターが身につける衣装となっていて、異国情緒の意味は減っている。

真珠の耳飾りの少女のように

細川 真希◎Gallery Cellar

1980年大阪府生まれ。大阪デザイナー専門学校卒業後、2004年「GEISAI#6」で銅賞を受賞。2007年フェルメールやダ・ヴィンチなどの名画をモチーフにした作品で個展を開催。2014年フランス・アヴィニョンに近いサンタンドレ修道院で開かれた「JAPON」展で、山口晃や塩田千春ら50人の日本人アーティストの一人として紹介された。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。

友だちに教える