They 12

2023.06.27

They 12Ryosuke Misawa/三澤 亮介

素材・技法:Acrylic on canvas/2023年
サイズ:116.7×91.0cm

三澤亮介が壊していく既成概念と
新たに作り出す色彩体験

「概念のアップデート」をテーマに、キャラクターをパズル状のカラー構成で表現する三澤亮介。マニアと言ってもいい程たくさんの映画を見てきたことから、映像に登場するキャラクターを描く「They」は生まれた。「知っていると思っているものを壊したい」と考えた三澤は、それまでの写真表現からペインティングという舞台に舵を切った。それが既成概念を揺るがすことのできる方法と考えてのことだ。作品は、2023年2月に渋谷駅工事現場の仮囲いや柱に展示されるなど、パブリックな場所にも進出している

They 12

「They」のモデルは、映像の中の登場人物。主人公にこだわる訳ではなく、感情移入できる人物を選んでいるという。「彼ら」は三澤によって解釈し直され、色面に分割されたキャラクターとなって画面に現れる。複雑なパズルのように配置される色彩は、自然と湧いてきたもの。たくさんの線を描くことでフラットな面を作っている。とりどりの色で描かれた人物の表情は、もはや分からない。表情を読むことが拒否される体験は、コロナ禍を経た現在、広く共感されるものになって、三澤の作品の同時代性を支えている。

They 12

三澤 亮介◎MEDEL GALLERY SHU

1992年、福井県生まれ。立教大学映像身体学科卒業後、写真家を経て2020年より現代アーティストとしての活動を本格化させた。コンセプトは「概念のアップデート」。映像や写真を自身のバックグラウンドに持ち、その多角的な視点を平面の肖像画に凝縮させる。主な制作方法としては、既存の画像イメージを構成要素とし、ピクセル解体を行い、その上でデジタルペインティングを施し、アナログペンティングに落とし込む。自身のバックグラウンドである映像や写真のデジタルミディウムをベースに、写真から絵画までをクロスオーバーし独自の手法で心象風景を表出させた「メディアパラドックス」を提唱している。

作品に込められた「想い」それぞれの物語

作品を深く理解して、もっと好きになる。制作の背景まで
踏み込んで、アーティストの想いを紐解きます。